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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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八十三の道 鏡の様な

「サゲン様! お待ちしておりました!」


「グルーガン! まさか! お前まで護衛についていたのか!」



 フェルマ牧場に着くと、そこで牧場の護衛についていたイーレッド家の騎士達が集まって来た。


 騎士達の中には鎧を着ている者達もいるが、鎧を脱いで孤児の子供達と一緒に牧場の仕事をしている奴らもいる。騎士達が良くしてくれるのか、子供達も騎士達に笑顔を向けていて懐いているのがよく解った。


 そしてその中でも特に熱いのが、モミアゲから顎にかけて真っ白で立派な髭を蓄えた、老境に片足を突っ込んでいる男だった。一目見ただけでも他の騎士とは格が違う。その男を見てサゲンも随分驚いていたから、本来ならば警護任務なんかをやる様な人材では無いんだろう。



「なぜお前がここの警護任務に回されているのだ? お前はルオルの護衛隊長になっていた筈だろ」


「確かにそうですが、昼夜を問わず警護が必要となる案件でしたので、ミルコース様がこちらに手を貸す様にと仰られ、ワシを派遣されたのです。いやはや、老体には少々堪えますわい」


「ミルコース義母上が?」



 サゲン達が何を話ているのかが気になりラベクに視線を向けると、ラベクが今の会話に出て来た名前について教えてくれた。


 ラベクの説明によると、ミルコースと言うのは領主の第二夫人であり、ルオルと言うのはサゲンの弟だそうだ。


 イーレッド子爵家は、長男は既に亡くなり、次男のサゲンは問題を起こして借金奴隷となっている。その為、現在の跡取りは三男のルオルと言う事になっている。


 ちなみにだが、第一夫人であるエルザレスと第二夫人であるミルコースの仲は良好で、まるで姉妹のようにタッグを組んでイーレッド子爵を尻に敷いているそうだ。


 しばらくサゲンと話していたグルーガンだったが、サゲンとの話に一区切りついたのか、俺の所にやって来た。



「初めましてですな。貴方様がリューマ殿ですかな? イーレッド子爵家の騎士長を務めますグルーガンと申します。リューマ殿のお噂は、エルザレス様からよく聞いております」


「これはご丁寧にどうも。私は煉獄龍馬と申します」


「…………失礼。ヌンッ!!」



 丁寧に挨拶をして来たグルーガンだったが、俺が頭を下げた瞬間を見計らって剣を抜いて斬り掛かって来た。俺は頭を下げた状態のままで迫る剣を片手で弾き上げ、頭を上げると同時に踏み込んでグルーガンを掌底で吹き飛ばすと、クルクルと回りながら落ちて来た剣を掴み取ってグルーガンに突きつけた。



「わかりやすく殺気を丸出しにして不意打ちとか、ナメた真似してんじゃねぇよ。俺の力を試してぇなら堂々と真正面から挑んで来いや。いつでも受けて立ってやるからよ」


「…………いやはや、参りましたわい。ここまで簡単にあしらわれるとは。本当に、エルザレス様の言う通りの方なのですな。どうやらワシでは、リューマ殿の力を測る物差しとしては不十分だった様ですな」


「グ、グルーガン! お前! 兄貴になんて事を…………!!」



 サゲンは今にもグルーガンに掴み掛かりそうな勢いだったが、俺がアイコンタクトを送るまでもなく、ラベクがそれを止めていた。


 こんなのはただのジャレ合いだ。本気で怒る様な事でもねぇ。



「ふむ。兄貴…………ですか。相当に慕われておりますな、リューマ殿」


「アイツは今は俺の身内だ。好きに呼ばせるさ。ホラよ、返すぜ」



 突きつけていた剣を一度放り投げて刃に掴み直し、グルーガンに差し出すと、グルーガンは立ち上がりながら剣を受け取った。そして改めて、俺に頭を下げて来た。



「大変失礼致しました、リューマ殿。エルザレス様からは、『サゲンは信頼できる方の所に修行に出した』と聞かされていたのですが、ワシからしてみれば産まれる前よりお世話している、僭越ながら孫にも似た感情を持つ御方の事ですからな。試さずにはいられなかったのです」


「そうでしたか。まぁ、安心してください。サゲン達の事は、決して雑に扱いませんので」


「『礼儀には礼儀を、非礼には非礼をもって返す鏡の様な方』。エルザレス様は貴殿をそう評しておりましたが…………。なるほど、なぜエルザレス様がサゲン様を預ける気になったのか、納得しましたわい」



 鏡ねぇ。そんな評価を受けたのは初めてだな。打てば響く和太鼓にはよく例えられたが、太鼓持ちみてぇな気がして嫌いだった例えだった。鏡ってのは、そう悪くねぇな。



「さて、老体に長々とつき合わせてしまいましたな。…………サゲン様、そんな目で見ないでくだされ、お叱りは今から受けますわい。ではリューマ殿。ワシは仕事に戻ります」



 そう言って警護任務に戻るグルーガンに、サゲンが纏わりついて説教をしていた。


 ああして見ると、なるほど爺さんと孫にも見えるな。そんな事を考えながら、俺は牧場の母屋へと向かい、フェルマ牧場のケイネスとクリスの姉妹と再会した。



「よう。ケイネス、クリス。来たぜ」


「話は聞いてるよ、リューマさん。今日からここに住むんだろ? 何も無い所だけど、部屋数はあるしご飯も出すから、安心していいよ」



 再会、とは言っても数日ぶりではあるんだけどな。状況が状況だからよ、数日ぶりにその顔を見れてホッとしたぜ。


 ただ、元気そうに振る舞ってはいたが、ケイネスの顔にはやはり疲労感が見て取れた。領主の騎士達がこの牧場と子供達の護衛をしてくれてはいるが、やはり気付かれは思った以上に大きいのだろう。


 その荷物、俺が少しでも軽くしてやれれば良いんだがな。

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