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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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七十八の道 ヴェルデスタ=ジゴロム

 ヴェルデスタ=ジゴロムってのは、自らの力だけで様々な功績を上げ、生涯において五十を超えるダンジョンを踏破し、その内の二十のダンジョンでダンジョンマスターになったと言う伝説の魔法剣士であるそうだ。


 貴族となってからは当時の王国騎士団長の副団長を長年に渡り務め、ここでも数々の功績を上げている。


 名前を出しただけでこんな話を聞ける辺り、ジゴロムって爺さんはかなりの有名人である様だ。



「晩年になり、ジゴロムは自らの人生を振り返り、『我が人生を輝かせたのは、冒険者時代の出会いと経験だった』と、そう語ったそうだ」


「それがあの爺さんか」


「確証はないけどな。なにせ三百年は前の人物だ。子孫が残っていたとしても、絵姿しか知らないだろう」


「三百年かよ。緑のダンジョンってのは、そんなに昔からあるダンジョンなんだな」


「そうだな。そもそもこの街自体が、緑のダンジョンの為に造られた街だからな。昔は大変だったらしいぞ? イーレッド家ではないが、その当時に領主の地位にあった貴族と、冒険者ギルドとでダンジョンマスターの座を争ったって話だからな。今は上手くやってるが、当時はかなり大変だったらしい」


「ダンジョンで手に入る物を考えりゃあな。争うのも無理はねぇが…………」


「ダンジョンは管理すんのも楽じゃねぇんだけどな。実際、今じゃ管理を押し付けあってるダンジョンもあるからな。まぁ、そういうダンジョンは枯らしてしまうんだが。…………おっと、話が逸れた。ヴェルデスタ=ジゴロムの話だったな」



 ヴェルデスタ=ジゴロムは、騎士団の副団長を辞してヴェルデスタ家の当主の座も息子に譲り渡した後、数人の共を連れて旅に出た。


 そして各地に、自分が生きた証として様々な財宝を隠して行ったのだ。


 ヴェルデスタ=ジゴロムが旅立って数年後、ジゴロムが亡くなったと言う訃報と共に、当時の新聞にある広告が載った。


 世界中に百の財宝を隠したと。隠した財宝はどんな身分であろうとも、全て見つけ出した者に譲ると。


 それらは当人が発表した事もあって『ヴェルデスタ=ジゴロムの遺産』として有名になり、各地で宝探しが行われた。


 見つければ一財産。物によっては一生遊んで暮らせる事にもなるそれらを、平民も貴族も王族すらも必死になって探した。



「現在、公式に見つかっているとされる財宝は二百二十三、とされている」


「妙な話だな。ジゴロムの爺さんが隠したのは百なんだろ? 倍以上になってるじゃねぇか」


「『ヴェルデスタ=ジゴロムの遺産』は有名になり過ぎたんだ。隠された財宝が見つかったとなれば、欲しがる貴族は多い。当然の様に詐欺が横行した。しかも貴族はメンツが何よりも大事だ。騙されたと気づいても、それを認めたがらない貴族も多かったのさ。たとえそれが原因で没落したとしてもな」


「なるほどな。で、実際はどのくらい見つかってるんだ?」


「多分だが、もう全て見つかっているだろう。まぁ、公式に発表されている中には五十程度しか本物は無いだろうけどな」


「ん? そりゃまた何でだ?」


「平民の立場としたら、見つけても黙ってるからさ。いくらヴェルデスタ=ジゴロムが『どんな身分であろうとも見つけた奴に譲る』なんて言ったって、貴族ってのは勝手なもんだ。気付かれたなら奪われるに決まっている」


「あぁーー、そりゃあり得る話だな」


「宝が見つからなければ話も廃れる。ヴェルデスタ=ジゴロムの伝説は、財宝が見つからなくなると語られなくなった。…………で、お前達が関わる話はここからだ。実はジゴロムが隠した財宝は、百では無かったと言う話が出ていた。ある時、ジゴロムが自分の子孫に向けて隠した財宝が何処かにあると、そういう噂が立ったんだ」


「おお、正に俺が見つけたヤツか」


「そうだな。だがこの話は、とっくに消えた話でもあったんだ」



 ヴェルデスタ=ジゴロムが、自分の子孫に向けて遺した財宝がある。それは、ヴェルデスタ家に仕える使用人から広まった噂だった。


 使用人によれば、ある日ヴェルデスタ家の子供が、誤って書斎にあった鏡を割ってしまったそうだ。


 当然その片付けは使用人が行った。その時、片付けをしていた使用人が割れた鏡の中から手紙を見つけた。送り先はヴェルデスタ家、差出人の印章もヴェルデスタ家。つまりそれは、ヴェルデスタ家からヴェルデスタ家に宛てられた手紙だった。


 訝しんだ使用人はその手紙を主人に届け、主人はその手紙を直ぐに開封して読んだ。手紙の内容は、子孫に向けた遺産をあるダンジョンに隠した。ヒントは既に出されている。我が家名に賭けて探し出してみよ。と言う内容だった。


 当然、ヴェルデスタ家は探し始めた。しかし、探し始めたのはヴェルデスタ家だけでは無かったのだ。


 数々の富をバラ撒いた『ヴェルデスタ=ジゴロムの遺産』。それも自分の子孫に遺した財宝だ。もしかしたら、隠されていた財宝を超える程の財宝なんじゃないか?


 そんな噂が立ち、ヴェルデスタ家は狙われる事になった。きっと、財宝の在処を示す物がそこにある筈と…………。



「欲に目が眩むと、人は何でもする。ヴェルデスタ家の屋敷は賊に襲われ、家人は皆殺しにされ、屋敷には火がつけられた。ヴェルデスタ家は、ジゴロムが子孫の為にと遺した財宝の為に滅亡したんだ。もう、ヴェルデスタ家の人間と言うのは、誰一人として残っていない」


「…………胸糞悪い話だな。そして、やりきれねぇ話だ」


「そうだな。…………それで話を戻すと、その遺産を受け取るべき人間はもういない。それは見つけたお前の物だ、リューマ」



 俺は目の前に並べられた『ヴェルデスタ=ジゴロムの遺産』を見て、大きく息を吐いた。

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