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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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七十六の道 二つの金箱

 ブラッドオーガとの戦いを終えて、俺は口の端から垂れていた血を拭い取った。ブラッドオーガは中々の敵だった。俺の体を覆う謎の赤い光をも拳で撃ち抜いて、俺に攻撃を届かせたのは流石だ。


 あれぞ鬼だ。鬼なんてのは寓話の中の存在だと思っていたが、本当にいたな。俺がダンジョンの中で目覚めた時にあの鬼に会っていたなら、俺はここを地獄だと信じて疑わなかっただろうぜ。



「リューマ、大丈夫か?」


「いま回復魔法をかけるからね」


「おう、大丈夫だケーシン。ネルもありがとうな」



 正直な所を言えば、俺の体に痛みを感じる部分は無い。血を出したし口の中を切った筈なんだが、不思議とそのキズがどこにあるのかは解らなかった。信じ難いが、もう治っちまったらしい。まったく、我が事ながらどうなってんだか…………。


 だがそんな事を説明するのもアレだし、俺は素直にネルの回復魔法を受けた。ダンジョンもここで終わりだからな。もうネルも魔力を気にする事は無いって事だ。



「おいリューマ、向こうからネーベルウッドの魔石とドロップアイテムを拾って来てやったぞ」


「リューマさん、これブラッドオーガの魔石とドロップアイテムです」


「おう、二人ともサンキューな。…………魔石はいいとして、なんだそれは?」



 マルザとショウが、それぞれネーベルウッドとブラッドオーガの魔石とドロップアイテムを拾ってくれた。


 マルザが持っているのは、長めの木の枝。まぁ普通に考えてネーベルウッドの枝なんだろう。ただの枝なんかどうしろってんだ? 薪にでもするしか使い道が無いだろ。


 一方ショウが持っているのは瓶に入った液体。いわゆるポーションってヤツだ。いや色合いが真っ赤だし、もしかしたら毒なのかも知れねぇ。…………まさか血って事はねぇよな? 流石によ。


 この二つのアイテムについてだが、枝の方はショウが知っていた。まんま『ネーベルウッドの枝』って名前の素材アイテムだそうだ。


 何でもこれは水属性を秘めた素材で、武器や防具に広く使われるアイテムなんだそうだ。


 まぁ、使えるし高く売れるってんなら文句はねぇ。これ一本で何が出来る訳でもねぇだろうし、売っちまうのが良さそうだな。


 で、ポーションの方は不明だ。だがギルドに行けば鑑定できるそうだから、持ち帰って鑑定してもらう事になった。



「なぁ、そっちはもう良いだろ! 宝箱いこうぜ、宝箱! 二個共金箱なんだしよ、早く開けてみようぜ!!」


「まぁ待てよマルザ。その前に服着さしてくれや。いつまでも上裸って訳にもいかねぇだろ。ショウ、預けた上着出してくれ」


「あ、はい。どうぞ!」



 俺はショウから受け取ったシャツと上着を着込み、軽く身だしなみを整えてから宝箱の前に立った。その側では、マルザが待ちくたびれた様に座り込んでいるが、ケーシンとネルもどこかソワソワしていた。大人気だな、金の宝箱ってやつは



「じゃあ開けるぞーー…………? なぁケーシン。これ、どっちがどっちのだ?」


「いや解らないよ。どっちもダンジョンボスを倒した報酬だし、金箱だからね」


「うーーん。まぁ、しょうがねぇか。んじゃまずは右からにするか」



 と、開けてみた右側の宝箱に入っていたのは、赤に黒の線が入った革製の手袋だった。指先にまで伸びている線は手の甲で複雑に絡み合い、何らかの幾何学模様を作り出していた。



「何だこれ? ただの手袋か?」


「いやいや、流石に普通の手袋じゃないと思うよ? 何かの魔道具じゃない? 流石に普通の手袋なんかは金箱からは出ないって!」



 ネルの言う事も一理ある。なのでこの手袋もブラッドオーガのドロップアイテムと一緒にショウに預けた。どんな効果があるかも解らないからな、冒険者ギルドでの鑑定待ちだ。


 次いで開けたもう一つの金箱には、ランタンが一つ入っていた。…………フム。ランタンか、悪くない。もちろん普通のランタンでは無いのだろうが、レトロな雰囲気が漂うランタンは、俺の趣味に合っていた。



「あ、それは知ってるぞ。『魔避けのランタン』だ。ランタンの火が照らす範囲に、アンデッド系のモンスターが近寄らなくなるって言う魔道具だぜ」


「へぇ。よく知ってたなマルザ」


「たまたまな。魔道具店で売ってるのを見かけて気になってたんだよ。それがあればよ、アンデッド系のダンジョンをかなり楽に攻略出来るって話だ」



 なるほどな。アンデッドって言うと、幽霊とかゾンビの事だろ。…………そんなのが出るダンジョンもあるのかよ、お化け屋敷じゃあるまいに。


 だが、それならばこのランタンは当たりだな。デザインも良いし、このランタンは貰っておく事にしよう。


 緑のダンジョン・Dランクをクリアした俺達は帰還用の魔法陣に乗ってダンジョンの入口まで戻り、そのまま魔導車の乗り場に向かった。


 ダンジョンの後半が夜の森と洞窟だった事もあり時間の感覚を失っていたが、ダンジョンボスとの戦いの間に一晩過ぎていたらしく、ダンジョンの外に出て見れば日がもう昇っており、朝の時間帯だった。


 そして、魔導車に乗り街に向かっている途中で牧場の様子を見てみれば、牧場では巡回をしている騎士達の姿や、子供達が軽装になった騎士達と一緒に牧場の仕事をしている姿が見えた。


 エルザレスが送った領主の騎士達は、子供達と牧場をしっかり護ってくれていたのだと知り、俺は安心して冒険者ギルドへと報告に向かう事が出来たのだった。

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