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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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六十七の道 隠された遺産

 夜の森にぽっかりと空いた広場に、デカイ岩が鎮座している。周囲には雑草が伸びているが、高くても膝下程度で、森から大岩までの間は、やはり獣道の様に潰れて道が出来ていた。


 問題は、なんで獣道の行き先があの大岩なのかって事だな。洞窟があるなら解るが、それもねぇみてぇだし。



「広場だな。岩しか無いけど、モンスターの気配も無い。もしかして、安全地帯か?」


「こういうタイプの安全地帯は初めて見たな。草原とかのタイプでも、安全地帯ってテントとか山小屋みたいな物ばっかりだったもんな」


「でも雰囲気いいよね。星空も月もよく見えるし」



 ケーシン達の会話で気づいたが、確かにこの辺りにはモンスターの気配が無ぇ。だがそれだけじゃねぇな。俺の勘がそう言ってる。


 この岩、この中に何かがあるのは気配で解る。ただ、普通の方法では開かねぇ気もするな。となりゃ力づくだな。何処を殴るのが良いか…………。



「リューマさん、ケーシンさん達がここで休憩しようって言ってますけど…………? どうしたんですか? 岩に手をあてて」


「何かあるとすりゃ、やっぱりここだな。ショウ、ちょっと離れてろ」


「え? …………はい」



 ショウがケーシン達の近くまで離れたのを見て、俺は拳を硬く握り、脚を開いて腰を落とした。


 そして…………!!



「スゥーー…………、オラァッ!!」



 体ごと引いた拳を真っ直ぐに岩に叩きつける!!


 パリッ! ガギッ! ゴシャァァ…………ッ!!


 何かが割れる音、何かが折れる音、そして最後に岩が崩れる音がして粉塵が舞う。


 広がる粉塵にケーシンたちが咳き込む中で、粉塵はだんだんと薄れていき、大岩の中に、空洞が現れた。



「へっ、やっぱりあったか」


「か、隠し部屋? み、緑のダンジョンに、未発見の隠し部屋がまだあったなんて…………!!」


「嘘だろ…………」



 ショウが驚愕の声を上げ、ケーシン達が呆然とする中で、俺は大岩の中に一歩足を踏み入れた。


 その瞬間、洞窟内の壁に緑色の光が走り、洞窟の中に緑色の幻影が立ち上った。



「なんか出て来たな」


「リューマ! レイスかも知れねぇ! 下がれ!」


「レイスは物理攻撃が、効かないよ!」


「いや、敵意がねぇから大丈夫だ。だが何だろうな、コイツ。幽霊っぽくもねぇんだが…………。ホログラム……とかもあんのか?」



 最初こそ完全に緑色だった光は徐々に落ち着き見せ、立ち上った幻影にも僅かに色の濃淡が出来ていく。そうして最終的に姿を現したのは、白い肌に緑色の髪と長い髭を持つ老人だった。額と顔の左側には何の形なのかタトゥーが彫られていた。



『我が子孫よ、よく辿りついた。我が書斎にあったヒントから辿りついたのか、それとも偶然ここに至ったのかは知るべくもないが、ここは儂と魔力の波長を同じくする子孫でなければ開けられぬ結界を張っておった。ここを開けられた事が、お主が我が子孫である何よりの証拠なのじゃ!』


「…………ヤベェ。やっちまったか、こりゃ」



 当然だが、俺はこの爺さんの子孫なんかじゃねぇ。俺の生まれは地球の日本だからな、星からして違うんだろうに、さすがに子孫はねぇだろう。


 …………待てよ? 何か割れたり折れたりしてたな。音で解った。折れたのは多分扉の支柱的なもんとして、割れたのが結界か。完全にやらかしたな。



『我が名、『ヴェルデスタ=ジゴロム』。冒険者をしているであろう我が子孫に、遺産を残す。儂が書斎に残したヒントから辿り着いたならば知っていようが、このダンジョンを選んだのは、我が家名との縁を感じたからである。そしてこのダンジョンが多層式である事も理由じゃ。その真意は…………己で考えよ』



 この爺さんが誰だか知らねぇが、俺はこの爺さんが遠い子孫の為に遺した遺産、それも子孫しか開けられねぇ様に念入りに封印していた箱を力でこじ開けちまったらしい。…………墓泥棒の気分になって来た。かと言って開けちまった以上、放って行く訳にも行かねぇ。ぶち壊しちまったからな。これは流石に元通りに直るとは思えねぇ。



『では子孫よ、お主の望みが叶う事を願う。そして我が遺産が、その手助けになれば嬉しい』



 そこまで話して、爺さんの幻影は消えた。…………やはりホログラムみてぇな物だったらしいな。壁やら天井やらにビッシリと描かれた紋様が、今のホログラム的な魔法なのかも知れない。フッ、俺も魔法の事が解ってきたみてぇだな。


 …………さて。遺産も放っては置けねぇが、それより先にやらなきゃいけねぇ事がある。



「ショウ、今の爺さんの言葉を正確に残して置きてぇ。紙とペンはあるか?」


「あ、はい。僕も聞いてましたので、書き残しますね。補足があれば言って下さい」



 俺はショウが書いているのを横から見ていたが、補足するまでもなくショウはあの爺さんの言葉を正確に書き残してくれた。


 そして書き残す作業が終わる迄の間、ケーシン達は、やけにソワソワしながら洞窟をチラチラと見ていた。



「お、終わったか!?」


「落ち着けマルザ」


「まぁ気持ちは解るけどね」


「なんだお前ら、洞窟が気になるのか? さっきも覗いてただろ」


「いや遺産! あんだけとんでもねぇ魔法使いの爺さんが遺した財宝なんだろ、あの宝箱! 気になるだろそりゃ!」


「お、おう。そうか。ならまぁ、見てみるか」



 爺さんの幻影が消えた洞窟の中には、デカイ宝箱がデンッ! と置かれていた。


 そしてその中身はと言うと、一冊の魔導書と二枚の丸められた紙、革製のバックに、二本のナイフ、幾つかの宝石。そして畳まれた一枚の紙だった。

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