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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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六十四の道 緑のダンジョン・Dランク

「…………ってな訳でよ、朝からいきなりこんな話をしてすまねぇが、ちょいと急いで攻略する事になった。悪ぃけど、付き合ってくれるか?」



 朝、魔導車乗り場に集まって早々に、俺はフェルマ牧場がカースス伯爵に狙われている事をケーシン達とショウに説明し、協力を頼んだ。



「そんなの協力するに決まっているだろ! フェルマ牧場には、俺達だって世話になっているんだ!」


「駆け出しの仕事の中にはよ、フェルマ牧場に関係する事も結構あるからな。俺達で壊れた柵を直した事もあるぜ」


「お礼に干し肉と牛乳貰ったよね。それに、フェルマ牧場は卵とかも安く売ってくれるから、凄く助かっているんだよね」


「そうですね。ギルドの宿舎でも牛乳と卵の配達を定期的に頼んでいます。この街には、一生懸命配達をしてくれる孤児院の子供達を応援している家も多いですからね。そんな話を聞いたら、怒り狂う人も多いと思います」



 ケーシン達にしてもショウにしても、Dランクのダンジョンはまだ実力的に厳しい。にも関わらず俺の頼みを当然とばかりに引き受け、自分達にも協力させて欲しいと言ってくれた。まったく、気のいい奴らだぜ。



「そうと決まれば早く行こう。ただ、急ぐとなると俺達に出来る事は少ない。先頭に立って戦うのはリューマに任せて、俺達はサポートに徹しよう!」


「ちょっと情ねぇけど、俺達もDランクで問題なく戦えると思う程、自惚れてねぇからな。でもよ、モンスターを誘導したり足止めしたりするのは任せてくれ!」


「私もリューマに貰った魔導書の魔法は覚えて来たからね! きっと役に立つよ!」


「僕もダンジョンの情報は集めて来ましたから、出来る限り頑張ります!」



 行くからには全力を尽くす、か。腐らねぇで自分達に出来る事を精一杯やろうって姿勢が、コイツらの一番の強みだぜ。この四人の心意気を聞いただけでも、俺にとっちゃ最高のサポートだ。



「おうっ! 頼りにしてるぜ!」



 俺が突き出した拳に四人も拳を突き合わせて、俺達はダンジョン街まで魔導車で移動し、Dランクの緑のダンジョンへと入った。


 そして中に広がる一階層の光景を見て、…………俺のやる気は急速に萎んでいった。



「…………湿地帯じゃねぇか。しかもデカイカエルが見えやがる」


「あーー。えっと、Dランクは一から四階層とフロアボスまでが湿地帯のダンジョンです。出て来るのは『アシッドスネーク』、『マッドフロッグ』、『マッドスパイダー』の三種類で、結構厄介ですね。アシッドスネークは装備をダメにしたりするし、マッドフロッグとマッドスパイダーは隠れているので不意打ちが怖いです」



 どいつも厄介だな。普通に進むと、ここでかなり時間を使うハメになりそうだぜ。



「魔力的にあまり長くは持たないけど、私の風魔法で索敵も出来るよ?」


「いや、もう一気に五階まで行こうぜ。モンスターは俺が殺気で蹴散らすから、ショウは階段がある所まで案内を頼む」


「わかりました!」



 そんな訳で、一から四階層までは全てのモンスターをガン無視で進んだ。時折、逃げ遅れたのか元々の臆病が原因なのかひっくり返って気絶している蛇やらカエルやら蜘蛛やらがいたが、俺は気にせず進み、ケーシンとマルザが追いつける範囲でだけトドメを刺し、魔石やらドロップアイテムやらを拾っていた。


 そして、湿地帯の最後だった五階層のフロアボスがまた最悪だった。『トゥースリーチ』とか言う、クソデカイ蛭だったのだ。


 もう最悪だぜ。蛭なんて小せぇ奴ですら気持ち悪ぃのに、それがデケェとか。こんな最悪な生き物は初めてだった。丸いクチん中には円形に並んだ牙が見えるしよ。夢に出るぜコレは。


 まぁでも殺らねぇと仕方ねぇ。嫌々ではあるがこのダンジョンを早くクリアする為だと足を踏み出した時、ふと感覚に引っ掛かりがあった。



「…………ん? なんだ、『イエモリ』か? 今お前に関わってる程ヒマじゃあ…………なに? はぁ、解ったよ」



 俺の意識の奥底から、俺の入れ墨の一つとなったイエモリの意識が伝わって来た。曰く、任せて欲しいと。


 まぁ、イエモリの使える力を試してもいなかったからな、ちょうどいいか。


 そんな風に考え、俺はスキル《モン紋》の一つ《疾風のスケルトン〘イエモリ〙》を発動した。


 すると俺の脳裏に、羽織袴に烏帽子を被り刀を構えた骸骨の和彫りが浮かび上がり、俺の手にはイエモリが使っていた刀が握られ、更に胸と両腕に風を思わせる文様が浮き出たのを、感じ取った。



「ほぅ、刀が使えるとは思って無かったな。んで何? …………なるほどなぁ、そんな事ができるのか…………」


「お、おいリューマ、さっきから何を一人で喋っているんだ? それに髪の色が緑色だぞ? 大丈夫か?」


「おい、リューマ!?」


「大丈夫だ、まぁ見てろ」



 俺は、ケーシン達が話し掛けて来る言葉を聞きながらフロアボスの部屋を進んだ。すると、俺が間合いに入った事で、巨大蛭は体をグッと縮めると、飛び掛かる様に一気に襲って来た。


 俺は歩を進めながらその攻撃を軽く避けて風を纏わせた刀を抜き、巨大蛭の横を通り過ぎる。


 そして、巨大蛭と完全に背中合わせになった所で足を止め、刀を鞘に滑らせるとカシィン! と音をさせて刀を納刀した。


 その音がフロア中に響いた瞬間、巨大蛭に幾つかの線が走り、そのまま横にズレていく様に輪切りになって崩れていった。



「フジミヤ流抜刀術『風刃』…………か。良いじゃねぇかイエモリ、使えるぜ」



 輪切りになって転がった巨大蛭はすぐに消え去り、その後には魔石と巨大蛭の牙が三枚ほど出現する。そして気がつくと、フロアの真ん中には一つの木箱が置かれていた。

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