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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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六十三の道 スジを通す

「いや、リューマが義理堅いのは解ってるし、ギルドとしては助かってるけどよ…………」


「理由はそれだけでもねぇよ。ここで俺がすんなりギルドを辞めてフェルマ牧場に力を貸したとしてもよ、俺がギルドの仕事を途中で放り投げたのは記録に残るだろ」


「ん? まぁそれは残るだろうな。何せ依頼の半分は片付けている訳だし、リューマだけじゃなくショウやケーシン達も関わっている事だ。流石にそれを改ざんする訳には…………。そうか、そう言う事か」


「ギルド職員としてフェルマ牧場に肩入れすんのがマズイなら、ここで俺が全部投げて助けに行くのも、上手くねぇって話だ」



 冒険者ギルドとしてフェルマ牧場に手助けする事は、ギルドの上層部に隙を見せる事になる。そしてそれは、俺が仕事を投げてギルドを抜けたとしても同じ事だ。何せスジが通ってねぇ。それはコチラの弱みになる。


 見え透いた手助けだと見えれば、フェルマ牧場が欲しい奴等は追求してくるだろう。



「そうか、そりゃそうだな。自分で言った事なのに抜けていたな」


「当然だが、弱みはねぇ方が良い。俺がギルドを辞めてフェルマ牧場を手助けしたとしても、仕事をキッチリこなしてスジを通した後なら、文句つけられる謂れがねぇ」


「…………なるほどね。確かにリューマ君の言う通りだわ。なら、こうしましょうか。フェルマ牧場とそこにいる子供達の事は、少しの間イーレッド子爵家で護ります。元はと言えばウチのが頭髪惜しさに招き込んだ問題だもの、その位はするわ。ただし、ウチは子爵家。王都の法衣貴族であり伯爵家の当主でもあるカースス伯爵には、表立って逆らえないわ。護れる時間は、そう長くないでしょうね」


「それは問題ねぇ、俺がすぐにダンジョンをクリアすれば良いだけの話だ」


「随分と簡単に言う。だが、お前さんなら確かに簡単かも知れねぇな」



 取り敢えずはこれでフェルマ牧場を助ける道筋は出来た。…………が、これじゃあ解決までは行かねぇ。


 俺がケイネスとクリスを連れてダンジョンの奥まで行き、二人をダンジョンマスターと後継者にしたとして、二人が狙われ続ける事は変わらねぇからだ。


 そこをどうするか。エルザレスはイーレッド子爵家の力じゃ護り切れないと言うし、それはギルドも一緒だろう。かと言って、俺が四六時中ケイネス達に付いている訳にも…………。いや、そうだな。もしかしたら…………。



「なぁネガー。魔法の力でよ、とんでもなく強制力の強い契約書、なんてもんは有るか?」


「ん? そりゃ、あるにはあるが…………何をする気だ?」


「俺とケイネスで契約書を交わす。ケイネスをダンジョンマスターにして、俺が期間限定で後継者になるっていうな」



 もちろん、俺にダンジョンマスターなんかに成る意図はねぇ。あくまで暫定的なもんだ。だがこれなら、そう簡単には手出し出来なくなる筈だ。もしケイネスを殺しでもしたら、出て来るのは俺だからな。敵が襲って来ても、秒で返り討ちにしてやるぜ。


 だが、いくらそんな事を口で説明してもケイネスとしては不安だろう。だから契約書だ。それも魔法を使った強制力の高いもんなら、ケイネスだって安心できるだろう。



「なるほどね。それならケイネスちゃんも安心出来るわね。でも、そう言う契約書には担保が必要よ? 一体、何を担保にするのかが問題になるわね」


「命でいいだろ」



 俺としては誓いを破るつもりもないので、なんだって良かったのだが、それはネガーにもエルザレスにも強く否定された。



「いやいやいや、短絡的過ぎるだろ。破るつもりがなくても、簡単に命なんか賭けるな!」


「重すぎよ。それじゃあケイネスちゃんも契約なんか出来ないでしょ。命の恩人の命を握るなんて、絶対にあり得ないわよ」


「そうか。俺の本気も伝わるし、いいと思ったんだがなぁ…………。それじゃどうするか。こういう時ってのは、何を賭けるのが一般的なんだ?」


「基本は金だろ」


「まぁ、普通はお金よね。あとは武器とかの装備や魔道具ね」


「…………なるほどな」



 まいったな。金はまだ結構残っているが牧場と釣り合う程じゃねぇし、装備は基本的に持ってねぇ。一応、この服は魔道具らしいが一張羅だしなぁ。



「随分と悩んでいるみたいだけど、ちょっと順番が違うと思うわよ? まずはその契約の話も含めて、ケイネスちゃんと話をするべきよ。無いとは思うけど、もしかしたらダンジョンマスターの権利をイーレッド家か冒険者ギルドに譲るかも知れないでしょ?」


「無いとは思うがな。ケイネスとしたら、牧場と孤児院さえ残せるなら、農場ダンジョンは手放したいかも知れない」


「そりゃどうだろうな。だが、ケイネスと話し合うべきだってのはその通りだ。少し先走り過ぎていた。…………なぁ、俺との契約の話も含めて、その話し合いをエルザレス様に任せてもいいか?」



 俺の言葉を、キョトンとした顔で聞いていたエルザレスが、少しして小さく吹き出した。



「プッ! なーーに? 散々タメ口で話してたのに名前は様付けなの? 寂しいじゃないの」


「う、…………まぁ礼儀は大事だろ」


「フフッ、公式の場でなければ、良いわよ呼び捨てで。それと、ケイネスとの話し合いの事は了解したわ。こっちは私に任せて、リューマは自分の方のダンジョン攻略にだけ専念なさいな」


「おう、よろしく頼むぜ。エルザレス」



 そんな訳で、俺はケイネス達の事はエルザレスに任せて、まずは途中で止まっていたギルドの依頼を片付ける事になったのだ。

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