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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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六十の道 折れた剣

「リューマさん!」



 イロッパ達を見送っていると、ケイネスが一人で俺の所にやって来た。その顔には疲れが見えるが、気丈に振る舞っている。



「おう、ケイネス。クリスや子供達はいいのか?」


「うん。取り敢えず皆、家の中で休んでる。皆が無事だったのはリューマさんのお陰だよ。本当にありがとう!」


「いいさ、ただの成り行きだ。…………だが、乗り掛かった船でもある。何が起きてるのか、教えてくれるか?」


「う、うん。…………リューマさんが良いなら、話を聞いて欲しい」



 俺はケイネスに案内されて家の中に入り、子供達の居ない部屋でテーブルを挟んで椅子に座り、これまでの経緯を聞いた。


 まず、この牧場は『農場ダンジョン』を最初に制覇したケイネスの曾祖父さんが作った物だ。当時、街にいる孤児達を何とか救済したいと考えていた曾祖父さんが、必死に頭を捻って作り出したのがこの牧場である。


 曾祖父さんの名前は『フェルマ』と言い、フェルマ牧場はこの爺さんの名前から名付けられた牧場である。


 ダンジョンは、一番最初にクリアした者がその所有者、いわゆるダンジョン・マスターになる事が出来る。そしてその際には、一人だけ後継者を選ぶ事が出来ると言うルールになっている。


 ダンジョン・マスターが死んだ場合、ダンジョンの所有権は後継者に移り、その後継者がダンジョン・マスターとなる事で、代々継いでいけるのがダンジョンなのだ。


 ちなみにこの後継者には期限がある。ダンジョン・マスターが死んでから百日以内にダンジョン・マスターに成らなかった場合、その権利は消え去り、ダンジョンは真っさらな状態に戻る。後継者が死に、継ぐ者が居なくなっても戻る。


 そして、ケイネスはまだダンジョン・マスターに成っておらず、期限の半分以上の時間を既に使ってしまっている。



「ヤベェじゃねぇか」


「うん。アタシは次の後継者としてクリスを連れて行きたい。でも、アタシとクリスの二人を連れて農場ダンジョンに潜ってくれる信用の出来る冒険者が見つからなくて…………」



 ああ、まぁそりゃそうだろう。戦えない者を二人、それも一人は子供と言う二人を抱えて、ダンジョンの最奥を目指せる冒険者は少ないだろう。


 と、俺はそんな風に考えたのだが、実情はもっと複雑だった。


 そもそも、冒険者が見つから無いのがおかしいのだ。何故ならこの農場ダンジョンとそれに付随する牧場は、街としては欠かせない食料と加工品を提供してくれる大事な生命線だ。


 だから本来ならば、と言うか今回も、ギルドからの働きで冒険者は紹介されて来ていた。異常なのは、その紹介された冒険者達が出発の直前になって依頼をキャンセルして来た事だ。それも縦続けに三回も。


 流石にこうなると、ギルドも原因の捜査に乗り出す。何せ自分達が紹介した冒険者達が起こしている騒動だ。放っておく訳にはいかない。


 そうして浮かんで来たのが、『カッスリン商会』。王都の法衣貴族、それも法務省で権力を握る『カースス伯爵』の流れを汲む商会だそうだ。こいつらが、依頼を受けた冒険者達を買収して、キャンセルさせてやがったのだ。


 邪魔している奴は解った。狙いも農場ダンジョンで間違いないだろう。


 そうなった時に頭に浮かぶのは、全ての元凶となった、フェルマ牧場の経営者夫妻の事故死。これが本当に事故だったのかと言う疑問だ。


 そしてもう一つ。なぜ今になって急に、強引過ぎる手段を取ってまで農場ダンジョンと牧場が欲しいのか。確かに農場ダンジョンにも牧場にも価値はある。だが、人を殺してまで欲しい理由は何なのか。


 それが解らず、ネガーは頭を悩ませていた。


 悪い事は重なるもんで、そんな折に起きたのがダンジョンの異常である。


 これにより、冒険者ギルドは牧場だけに関わっている訳にはいかなくなった。



「これまでも、カッスリン商会からの勧誘や、嫌がらせの類は多かったの。でも、まさかこんな直接的に襲って来るなんて思って無かった…………!」


「段々とエスカレートしてとうとう、って感じか。向こうにも焦りがある訳だな」



 と、そこまで話を聞いた所で扉がノックされ、返事をするとラベクが入って来た。その手に持っているのは、襲って来た奴らの軍服共が持っていた、折れた剣だ。



「どうしたラベク」


「はい。この剣についてなのですが、俺はこの剣を知っています」


「ん? 解るように話せよ」


「これはカースス伯爵家に所属する騎士団の剣です。この剣の根元に、伯爵家の紋章が刻まれています」


「…………こんな事を仕出かしといて、身バレする様な物を持ってたってのか? 馬鹿かアイツら」


「この仕事で、まさか捕まるとは考えて無かったのでしょう。この紋章についても、そう有名な物でもありませんので」



 それにしてもカーカス伯爵って、ケイネスから聞いた話にも出て来た名前だったな。確か王都の法衣貴族、とかって言ってたか。…………政治家が絡んで来たかぁ、そうなると面倒臭ぇんだよなぁ。あくまで日本での話だけどよぉ。



「何にせよ、やる事は決まりだな。ラベク、サゲンと一緒に領主に…………って言うかエルザレス夫人に報告して来てくれ、その剣も持ってな」


「俺達だけでですか?」


「無ぇとは思うが、この牧場がまた襲われる可能性もある。あの軍服共を奪還しに来たりな。だから俺はここに残る。お前達だけで行って来てくれ、その方が話も早ぇだろ」


「解りました」



 …………ちょっと牧場に遊びに来たってだけなのに、随分と面倒な事になって来たぜ。まぁ、もう船に片脚を突っ込んじまったからな。最後まで付き合うけどもよ。


 何が欲しいのか知らねぇが、ガキ共の命まで狙おうってクソ貴族には、キツイ灸も据えてやらねぇといけねぇしな…………!!

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