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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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五十四の道 しがみつけ!

『…………やはり、届かず…………か。リューマ殿、ありがとうございます。これで拙者も、あの世へと行けます』


「……………………」


『誠に勝手ながら、仇討ちの件、よろしくお頼み申します。その代わり、拙者の力を存分にお役立てください』


「……………………」



 何に満足したのか、イエモリが宿る骸骨が崩れ始め、後を追う様に刀や魔本も少しずつ塵になり始める。



『そろそろ時間の様です。いざ、さらば!』



 イエモリの刀から噴き出した風が、俺の体に流れ込んで…………。



『スキル《モン紋》に《疾風のスケルトン》が追加され…………』


「やかましい!!」



 俺の拒絶の一喝に、バチンッ! と音を立ててスキルの声が潰され、朽ちようとしていたイエモリも止まった。



「やっぱり気に入らねぇぜ! おいイエモリ! お前は全て諦めてやがる!!」


『…………は?』


「本が朽ちるからと、自分が消えるからと、お前はもう消える事を受け入れている! 悔いが残ると、恨みが消えないと言っときながら!」


『いや、ですがそれは…………』


「消えるのを受け入れてるクセに、その恨みを人に背負わせるってのは! スジが通らねぇ!!」



 俺の言葉にイエモリは愕然とし、顔を下に向けた。



「本当に恨みが消えねぇなら! どうしても殺したい奴がいるなら! どんな状態になったとしても、自分の手でやれ! 人に押し付けて自分はスッキリ消えるなんて、そんな身勝手な話があるか!!」


『俺だって…………! 俺だってそうしたいさ!! だが、俺はもう…………!!』


「しがみついて来い! 世の理なんざ無視して! 俺に力を託すってんなら、それにしがみつけ!!」


『!?』


「お前の代わりに見も知らねぇ奴を討つなんざ、冗談じゃねぇ。だが、お前の仇討ちの手伝いだってんなら、俺は手を貸してやる」


『…………リューマ殿』


「やってやれねぇ事なんざねぇさ。お前は俺に一太刀くれた漢だぜ?」



 そう言いながら、俺が自分の額を触ると、そこから一滴の血が流れた。


 イエモリの上段から振り下ろした一撃を俺はギリギリで躱したつもりだったが、ほんの僅かだが、イエモリの剣は俺の額を斬っていた。俺の体を護っている赤い光の壁すら斬り裂いて、ほんの僅かだが届かせていたのだ。


 こいつぁ、若返ってから初めて受けた傷だ。血はたった一滴で傷もすぐに治るだろうが、俺は確かに傷を受けた。



「ついて来いよイエモリ。お前の意思も覚悟もそのままによ。お前の仇討ちは、俺が手伝ってやるからよ」


『…………リューマ殿! この命、この覚悟! 全てお預け申す! 我が恨み、晴らさせてくだされ!』


「おう。任しとけ」



 イエモリが体としていた骸骨が一瞬で崩れ去り、刀の全てが風となり俺の体に吸い込まれた。



『スキル《モン紋》に、《疾風のスケルトン〘イエモリ〙》が追加されました』



 俺の頭の中に、風を纏い刀を振るう和装の骸骨が浮かび上がり、その端に『イエモリ』と書かれた短冊が張り付いた。



「よろしくな、イエモリ。…………おう、オルーガ。終わったぜ」


「…………見てたさ。ハァ、これは俺もネガーに報告を上げなきゃいけないヤツだな…………」


「おっと忘れてたぜ。…………おい、ウルミ! 大丈夫か?」


「待てリューマ! 自分の格好を…………!」



 俺は壁際に座らされているウルミの前にしゃがみ込むと、その頬をペチペチと軽く叩いた。イエモリの奴がウルミに危害を加えているとは思わねぇが、異常事態だったのは間違いねぇからな。無事の確認はしとかねぇといけねぇ。


 幸いウルミは、俺が軽く頬を叩いた程度で目を覚まし、…………上裸の俺を見て悲鳴を上げた。



「…………え? あれ? 私なんで…………って!? ひぎゃあぁーーーーっ! 何で裸ーーっ!?」



 俺を見て悲鳴を上げ、ビンタを繰り出そうとするウルミを見ながら。あぁ、そういや服着て無かったな。そりゃ目が覚めた途端に目の前に半裸の男がいりゃこうなるか。


 これは俺が悪ぃな、一発張られとくか。などと考えて動かないでいると。


 バチンッ! と結構な勢いで俺の頬を張ったウルミが、自分の手を押さえて苦しみ出した。



「いっ!? 痛い!? 硬い!? 手がぁっ!?」


「あぁーー、そうか。そうなっちまうのか」



 可哀想な事をした。俺の体を護っている赤い壁が仕事しちまったらしくて、ウルミの方がダメージを受けてしまった。まぁ、硬い壁に思いっきりビンタした様なもんだしな。



「気を使って張らせたんだが、余計な事だったな。いや悪かったよ、大丈夫かウルミ?」


「うぅ、痛いですぅ…………」


「何をやっているんだお前達は。ほら、もう図書館を閉める時間だから行くぞ。ウルミ君は、一応回復魔法をかけて貰いなさい」



 オルーガがウルミを連れて俺達は図書館に戻り、俺も手伝って図書館を閉める片付けを終わらせた。


 同僚に頼んで手に回復魔法をかけて貰ったウルミは、心労もあって先に帰って行ったらしい。


 いやぁ、本当にウルミには悪い事をしたな。今回の一件にしても、イエモリの狙いは俺だった訳だからウルミは完全に巻き込まれた形だ。あの手の事も含めて、ウルミにデケェ借りが出来ちまったな。


 この借りは、キッチリ何かで返さねぇといけねぇな。ウルミが欲しがってる物でもあったら、プレゼントしてやるとしよう。



「…………やれやれ、寝不足にこれは堪えるな。リューマもご苦労だったな。お前が持ち込んだ苦労な気もするがな」


「そう言うなよ。取り敢えず今日は帰るが、写本が途中だからな。明日また来るぜ」


「解った。じゃあ、また明日な」



 そう軽く挨拶を交わして、俺はギルドの宿舎に向かい、オルーガは図書館に戻って行った。


 …………アイツ、図書館に住んでる訳じゃねぇよな?

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