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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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四十九の道 領立図書館

 サゲンとラベクを受け入れたは良いが、あの二人をダンジョンに連れて行くには足りねぇ物がある。装備品だ。


 俺自身は無くても平気だし、そんなもんとは縁遠い現代で生きて来たからピンと来ねぇが、ココじゃあ武器やら鎧やらは重要らしい。


 鎧なんてガッチリ着込んだら動きが悪くなるし、そんなもんで受けるより躱す方が戦いやすいと思うのだが、モンスターの多い世の中では、そんな事は言ってられないようだ。


 ちなみにサゲンとラベクが元々使っていた装備は、部分的にはギルドに残っている。ただ、イーレッド子爵家の関わりがある品々は返してしまった為に虫食いの様に掛けている。これなら全部揃え直した方が良いと言うネガーのアドバイスで、ギルドを通して注文をかけた所だ。


 ギルドを通したのは、俺じゃ装備の良し悪しなんか知る訳ないと言う理由と、サゲン達が自分で行くと余計なトラブルがありそうと言う理由からだ。もちろん、装備の代金とギルドの手数料は俺持ちだ。


 そろそろダンジョンの調査を再開した方が良さそうだ。金はまだあるが、無限って訳じゃねぇからな。



「おっと、ココがそうだな」



 サゲンとラベクをギルドに残し、俺がやって来たのは街の図書館だ。朝のジョギングでゴールにしている公園の敷地内にあるそれは、石造りの立派な建物だった。窓も多くて見栄えがいい。


 本の貸し出しもやっているらしく、図書館の前に広がる公園の芝生では、くつろぎながら本を読んでいる人々も見かけた。


 図書館に続く石畳を進み、大きな扉を開けて中に入ると、中は吹き抜けの高い天井から吊るされた大きなシャンデリアに照らされており、本棚が並ぶ区画と椅子やテーブルが並ぶ区画でハッキリと分けられた空間が広がっていた。


 中にいる人々はとても静かで、国が違っても図書館ってやつは静かなもんだなと、少し感動した。



「どうもいらっしゃい。領立図書館の利用は初めてかな?」



 受付に近づくと、そこに座っていた痩せて眼の下にクッキリとした隈を作った男が、ボソボソと話し掛けて来た。



「りょうりつ? …………ああ、領立か? ここは領主が造った図書館なのか」


「そうだ。先々代の領主様だがね。今管理してくれているのは第一夫人のエルザレス様だ。エルザレス様はこの図書館を気に入って下さっているから、ここで妙な事はするなよ? 簡単に首が飛ぶからな」



 あぁ、エルザレスが管理者か。それなら、良い本が集まりそうだな。なるほど、ギルドで勧められる訳だ。



「身分証は持ってるかい? それによって、図書館の利用料金が変わって来るから、なるべく信用のあるものを出してくれ。無いなら、入館料で銀貨三枚、利用料金が銅貨三十枚だ。何もなければ、入館料は帰る時に返すがね」


「身分証ならある。冒険者ギルドのカードでも良いんだろ?」


「紙と木はダメだが…………っと、シルバーか。それなら利用料金はタダでいい。ただし貸し出しの時には銀貨五枚を預からせて貰う。借りれるのは三冊までだ。預かった銀貨は、何もなければ本の返却時に返す事になっている」


「解った。ちなみに俺は文字の勉強に来たんだが、オススメの本はあるか? 読めはするんだが書けなくてよ」


「ああ、そうなのか。…………読めはするんだな? それなら、ちょうどいい仕事があるんだが、勉強ついでに働いていかないか? 初めて見る顔だが、シルバーなら信用できる」


「うん?」



 隈のある痩せた男が勧めて来た仕事は、写本だった。図書館にある本の中でも、価値の低い物の写本だ。


 この国の印刷技術は、要するに版画である。有名な本なら、出版時に多く刷られる。それが足りなくなっても重版もあるから数は足りる。


 価値のある本なら、原版が残っていなくてもそれを作ったり、写本を専門とする業者に依頼が出来る。この場合はタイプライターのようだな。


 困るのは価値はないが、無くしたくない本だ。児童書や、各種資料なんかがそれにあたる。依頼されたのは、そういう本の写本だな。



「なるほどな、児童書の写本か。そりゃ確かに勉強にもなりそうだ」


「読みやすく大きく書いてくれれば、多少字が汚くても目を瞑る。出来栄え次第で金も払うし、悪くない話だと思うぞ? まぁ、正直あまり金にはならないから小遣い稼ぎ程度だがな」


「いや、十分だ。金が出るとなると、やる気も変わってくるのが人間ってもんだからな。やらせて貰うぜ」


「そうか、ならちょっと待っててくれ」



 隈のある痩せた男は、そう言い残して裏へと行き、しばらくしてから眼鏡を掛けた少女を連れて戻って来た。



「待たせたな。彼女はここの職員でウルミ君だ。こちら…………? そう言えば自己紹介もしてなかったな。私はオルーガだ」


「俺は煉獄龍馬だ、今は冒険者ギルドで世話になっている。よろしくな」



 俺は普通に自己紹介をしたんだが、俺の名前を聞いたオルーガの動きが止まり、まるで油のきれたロボットの様な動きで俺の顔を見て来た。



「レンゴク=リューマ? …………そうか、九階層を焼き払ったのはお前か」


「うん? なんでその話が出て来る」


「ギルドマスターのネガーに頼まれてな、ダンジョンに関わる文献を調べるのと並行して、各所に送る報告書の作製を手伝ったんだ。おかげで寝不足だ」


「…………そりゃ悪かったな。別に悪気があった訳じゃねぇんだが」


「報告書を作製したからな、経緯は解っている。ちょっとした愚痴だ。含む物は無い。ただ、よければ経緯を本人の口からも聞いてみたい。今度時間をくれ」


「構わねぇぜ。迷惑かけたみてぇだし、一杯奢るよ。だがまぁ、そりゃ後にしようぜ」


「おお、そうだったな。ウルミ君、彼に写本の仕事を教えてくれ。文字は書けないが、読む事は出来るそうだから、それを踏まえてな」


「わ、解りました。よろしくお願いします」



 眼鏡の少女ウルミは、そう言って頭を下げた。

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