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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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九十九の道 リョクの足掻き

『グうゥウぅ…………! クソがァぁぁ…………!! か、身体が…………身体ガ崩レる…………!!』



 龍の力を失い、身体を失い、乗っ取ったフォムの魔石も失った。もうリョクに残されているのは今ある魔力のみだ。新たな魔力も、新たな身体も得ることは出来ないし、俺がさせねぇ。



『クソッ! クソォッ…………!! 俺ガ人間に負けるノか…………!? 消エる……俺が…………!?』



 崩れかける身体で、ボロボロの顔を上げてリョクは俺を睨みつけた。



『コロス…………! キサマダケは……確実にコロしてヤルゾ…………!!』


「…………懐かしいな。よく言われてたぜ、その台詞。だが俺は生き残った。その台詞を吐いたヤツは、大抵俺に負けて死んでいったぜ」


『ナニを…………!!』


「何を言いたいかって? まぁ、せいぜい頑張れって事だ。その台詞を吐いて俺を殺せたなら、地獄で自慢できるぜ? 叶わなかった奴らが、大勢ひしめいて居るだろうからな」


『フザケたコトを…………!!』



 言いたい事を言って構えをとった俺に対して、リョクは自らの異形の身体を割った。


 だがそれは、自暴自棄になった訳ではない。リョクの割った身体は、冒険者だったミイラやリョクの身体だったミイラであり、リョクは自身に残された魔力を使って、そのミイラ達を強化した。


 残された魔力で人形を作って圧殺を目指すよりも、残りの魔力を使っての少数精鋭に賭けたのだ。


 確かに厄介ではある。随分と強化されたミイラが四体と、リョクの身体だった頭の無い別格扱いのミイラが一体。まともにぶつかれば勝てはするが、確実に一人か二人が俺の横を抜けてケイネス達の所に行くだろう。


 そうなれば、ケイネス達は確実に殺される。要は人手が足りねぇって事態だ。…………さっきまでなら、の話だがな。



 俺は《モン紋》、《翠緑のフォレストノーム》の持つ能力を解放した。


 その瞬間に、俺の中から力がごっそりと抜け落ちた感覚があった。


 初めての感覚に、流石の俺も驚いた。一瞬、大量に血液を抜かれたかの様に錯覚した程だ。少し考えて、もしかしてこれが魔力ってヤツかと思い至る。


 スキル《炎斧のミノタウロス》の炎は魔法だと思っていたが、こんな感覚は無かった。ごく自然に使えたから、そんなモンかと考えていたが、どうやら俺が鈍かっただけらしい。魔力ってヤツは俺にもちゃんと備わっていたみてぇだ。


 だが、これはちょいとキツイな。何となく解るぜ、抜かれ過ぎだ。魔力ってヤツを使い切ると気絶してしばらくは具合が悪くなる、ってのはネルから聞いた事があったが、なるほどこう言う事かと実感した。


 まぁ、幸い気絶まではいかなかったから今は良しだ。


 俺は体のダルさを脇に追いやって、魔力をごっそり持って行った原因に眼を向けた。


 それは、俺の前に立つ四体の人形達だ。それぞれフォレストノームの力で土と木から作られたのは変わらないが、普通の人形とは違う所があった。



 《炎斧のミノタウロス》

 《疾風のスケルトン〘イエモリ〙》

 《血闘鬼ブラッドオーガ》

 《翠緑のフォレストノーム》



 そこには、俺のスキルとなったモンスター達の、姿と意思を持った人形が、そこには立っていたのだ。


 これはリョクが作った冒険者達のミイラを利用した人形を見て、俺も似たような事が出来ないかと考えた時に、フォレストノームの意思が『できるよ』と教えてくれた事で実現したのだ。



「フォムちゃん!!」


『…………ケイ……ネス!』



 ケイネス達を護衛する為に、フォレストノームだけはケイネス達の所に残し、残る三体は俺の隣に並び立った。


「これで終わりにするぞ!」


『ブゥフゥーーーーッ!』


『承知!!』


『…………!!』



 鼻息荒く地面を足で削るミノタウロス。静かに構えを取り刀の鯉口を切るイエモリ。無言で血の鎧を纏うブラッドオーガ。


 そいつらを従えて、俺は崩れかけたリョクと人形共に向かって走り出した!


 リョクの人形共が俺と魂で繋がった好敵手ダチ共に勝てるとは思えねぇし、万が一その横を抜けたとしてもケイネス達はフォレストノームが護ってくれるだろう。


 冒険者共の人形には、ミノタウロスとブラッドオーガがぶつかり、蹂躙している。アイツらは冒険者としては名を売っていた様だが、実力は伴っていなかった。


 その正体はリョクのお遊びで成り上がった冒険者達であり、そんな奴らが自我を失い人形になっているのだ、実力を底上げされていたとして、ミノタウロスとブラッドオーガの敵では無かった。


 そしてリョクの身体だったミイラに当たったのはイエモリだ。


 流石は人の形になっていたとは言え龍の身体だ。パワーもタフネスも異様に高く、イエモリとは比べ物にならない。だが、イエモリは長く研鑽を積んで来た剣士だ。操り人形などに、技術で負ける事などあり得ない。


 リョクリュウの身体は斬り刻まれ何もさせては貰えてなかった。



『ば、馬鹿ナ…………、そんナはズがあるカ…………! お、俺は龍ダ、リョクリュウなンダ! 人間アイてに、ナにも出来ズに負けルなんテ、そんな訳カ゚あるカ…………!!』


「負けが信じられねぇか? だが負ける時なんてのはそんなモンだ。何で負けたのか、なんてのは、地獄でゆっくり考えてろや。その時間だけは、これから無限にあるだろうからよ」


『い、嫌ダ、死にタくナイ! 俺ハ滅びナイ!!』


「滅びるさ、俺もお前も」


『イヤだーーーーっ!!』



 リョクの最後の足掻きを躱し、俺は拳を硬く握りその顔面を打ち砕く。


 最後までこの世にしがみつこうとしたのか、頭を無くしたリョクの身体は手を伸ばして俺にしがみつこうとし、俺にその手を振り払われて、消えていった。

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