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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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九十八の道 フォム

「ウオォラァァーーーーッ!!」



 スキル《モン紋》から《炎斧のミノタウロス》を背中に貼り付け、俺は炎の中で次々と生み出される人形を屠っていた。


 俺の力にはまだ余裕がある。それに、リョクに似た人形もそれ程には強くねぇ。完全にスキルを掌握しているからか、動きこそ滑らかだが、恐れるには値しねぇ。


 だが、なぁ…………。



『ククククク…………、ハハハハハッ!!』



 異形の姿となり、人形を生み続けるリョクを見上げて、俺は軽く溜め息をついた。


 終わりが見えねぇ。一気に本体を叩こうにも、俺がこの場を離れるとケイネス達がヤベェ。俺にとってはザコでも、サゲンやラベクには強敵だ。一対一ならともかく、多対一となれば、アッサリ殺されてしまう。


 弱ぇのは罪じゃねぇ。強くなろうと研鑽も積んでいるサゲンとラベクの場合は特にそうだ。今もケイネスを背中に庇い、二人で緊張感を保っている。それだけで立派なもんだ。俺が二人位の歳の頃は、後先考えず厄介事に首突っ込んではエラい目に遭ってたもんだ。自制出来てるだけでも俺の役に立っている。


 それによぉ、アイツは何も出来ない悔しさに、震える程強く武器を握り締めてやがる。その気構えが見れただけでも、俺の拳に気合が乗るってもんだぜ!



「ウオオオオッ!!」



 迫り来る人形を叩き、蹴り、踏みつけ、投げる。コイツらは、脆いからな。纏めてブッ飛ばせればそれだけで手数が浮く。


 参るのは…………それでも尚、リョクが人形を生み出す方が早いって事だな。ったく、ガソリン切れみてぇな事にはならねぇのか? 考えたくねぇが、流石に無限に湧き続けるとなれば勝ち目が薄いんだがな。


 だがそうだとしても、諦めるって選択肢は最初から無ぇ。俺だって長い事、修羅場の中を走ってたんだ。仲間を護れなかった事も一度や二度じゃねぇが、自分から諦めた事ぁねぇんだよ!



「オラオラオラオラオラァッ!!」



 炎に巻かれ、炎斧に潰されて次々に崩れていく人形達。膠着状態ではあるが防ぎ切れている。そして長く戦っていれば、相手も息切れくらいはする。


 …………その考えが、俺の油断だった。


 リョクが人形を生み出すスピードに陰りが見え、密集する人形の一部が薄くなった時、俺は勝機だと捉えてしまった。


 一時、両足に力を溜めて腕を顔の前でクロスさせ、弾丸の様に薄くなった箇所を貫いた。リョクに一撃入れて、戦況を有利にする為の行動だった。


 だが、それは誘いだった。俺をケイネス達から引き離す為の。


 十分に俺を引き込めたと見るや、リョクは生み出す人形を倍増させた。俺は人形の波に飲み込まれ、眼の端でケイネス達に向かう人形達の姿を見た。



「…………クソッ! 誘いか!!」



 正直に言えば、リョクをナメていた。もはや言葉もマトモには紡げず、消える前に爪痕を残そうとしているだけの搾りカス。そう言う思いは、確かに俺の中にあった。


 周りの奴らを蹴散らして、ケイネス達の所に跳ぶには数秒掛かる。サゲンとラベクの頑張り次第では、俺はギリギリで間に合うだろう。だがその間にも人形は生み出されていく。


 …………いや、考えるな! ただ動け!!


 コンマ一秒刻むだけで倍増する勢いで生み出される人形どもを無視して、俺は周囲をデタラメに殴り飛ばし、無理やり跳躍するだけの空間を作った。


 後先など考えず、ただケイネス達の元へ。そう意識を集中させた俺の耳に、突如リョクの声が聞こえて来た。



『な、ナんだとォ!? キ、貴様! まだ意識ガあっタノか…………!?』


『ケイネス……! 護る…………!!』



 眼の端に映ったのは、フォレストノームの身体を乗っ取り、更に異形と化したリョクから枝分かれの様に身体を生やした、もう一人のフォレストノームの姿だった。


 そして、視線の先にあるケイネス達を見れば、ケイネス達の所に向かった人形どもの足を、地面から上半身だけを生やした人形が止めていた。


 それを目にした瞬間、俺は身を翻して跳ぶ先を変えた。


 フォレストノームが、…………フォムがリョクの使う力を妨害している為、人形の動きが鈍った今こそ勝機! 俺はリョクに向かって跳び、渾身の一撃を喰らわせるつもりだった。


 だが、揉み合うリョクとフォムに向かって跳び上がり、渾身の拳を振り上げる俺とフォムの眼が合った瞬間、俺は悟った。


 リョクと揉み合う中でフォムの眼が俺を捉え、訴え掛けて来たのだ。


 自分がリョクを抑える事は出来ない。でもリョクの力を大きく削ぐ事は出来る。…………フォムの眼は俺にそう訴えると、リョクを抑えていた手を離して、俺に向かって差し出すように、俺に向けて身体を差し出した。


 フォムの胸に浮かび上がるのは、フォムが体内に持っている魔石だった。フォムはダンジョンボスだが、今の状況は特殊過ぎる。それを失えば、自身が滅びる可能性もあるのに、フォムはリョクの力を削ぐ為に、自分の命を差し出したのだ。



『……………!!』


「ああ、解ったぜ。お前の覚悟、確かにこの煉獄龍馬が受け取った!!」



 俺はせめてもの手向けと《モン紋》を解除し、俺自身の拳でフォムの魔石を貫いた!



『な、なにィ!? 貴様!! キさマらぁーーーーっ!!』



 フォムの魔石が砕けた瞬間、リョクの持つ力が大きく削がれたのを感じた。


 リョクが無尽蔵に人形を生み出せていた理由は、その膨大な魔力にあった。だがそれはリョクが持つ魔力ではなく、フォムを通じてダンジョンから吸い上げていた魔力だったのだ。


 乗っ取った身体からフォム自身が失われ、ダンジョンとの繋がりは切れた。これでリョクは新しい人形を作り出す事はもう出来ない。


 そう俺に教えてくれたのはフォムだ。


 俺の背中に浮かび上がった、新たな《モン紋》。《翠緑のフォレストノーム》。緑に囲まれた森の精霊が祈る様なその和彫りが、俺に知識と力をくれたのだ。

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