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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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九十六の道 リョクリュウ

 ぎこちなく迫り来る人形共を拳で砕きながら、俺はリョクに向かって走った。


 俺とリョクとの間はそう離れていないが、リョクは土と木を操る。地面から唐突に生えて来やがる土の棘や鋭い木の根を避けながらでは、真っ直ぐには向かえず、もし一瞬で詰め寄ろうとしたならば棘や根によって串刺しになるだろう。


 だから俺は、螺旋を描く様に距離を詰める。リョクもそれを解ってはいる様だが、あの野郎はナメた事に俺を見ていなかった。



「どうなってる? 人形を上手く操れない」


「よそ見してる場合かよ!!」



 俺は《モン紋》を発動し、背中に《炎斧のミノタウロス》を貼り付けると、身体を回し、炎の斧を纏った脚をリョクに叩きつけた!


 リョクは手を掲げ、そこに緑色の光で出来た壁を出して炎の斧を防いだが、炎斧によってヒビが入った壁を俺の脚が叩き壊すと、舌打ちをして後ろに飛んだ!



「龍の加護を破った? 属性の相性もあるんだろうけど、その力はデタラメだな。…………オイ! ちゃんとスキルを使え!!」



 リョクが苛立たしげに茨の籠を振ると、中からくぐもった呻き声が聞こえ、地面から人形が生えた。



「まったく、せっかく俺が使ってやろうってのに抵抗しやがって…………! そらっ!!」



 苛ついた様子でリョクが手を振ると、その手から飛んだ緑の光が人形に突き刺さり。リョクの姿になった人形に光の線が何本も走った。


 すると人形どもは、さっきまでとは明らかに違う滑らかな動きで動き出し、俺に襲い掛かって来た。



「さっきより動きがいいな!!」


「俺の魔力をブチ込んだからなぁ!」



 動きが良くなった人形は確かに厄介だ。一割の力とは言え、リョク自体がかなり強いのだろう。例えばサゲン辺りなら、この人形一体に勝てねぇだろう。ラベクでも怪しい所だ。


 だが、俺には関係ねぇ!!


 向かって来る人形を殴り飛ばし、蹴り飛ばす。そして空を殴る拳から炎の拳を飛ばした。


 するとリョクはその右手を鋭い爪の生えた手に変えて炎を叩き潰し、俺との距離を詰めてフォレストノームが入った籠を叩きつけて来た。


 軽く飛んで避けたが、籠は俺のいた地面に叩きつけられ、中から叫び声と共に血まで噴き出した。



「テメェ! それを武器にすんじゃねぇ!!」



 炎の斧を纏った脚を振り下ろすと、リョクは事もあろうに茨の籠を盾にする。


 あぁ、今の一連の流れで解ってるさ! テメェならそうするだろうよ!!


 俺は地面についている片脚で飛び上がりながら身体を捻り、空中で身体を逆さまにすると伸てた!

 ばした両手に炎を纏い、リョクの体に炎の拳を突き立てた!



「グァッ!? クソッが!!」


「なにぃ!?」



 リョクが緑色の髪を逆立て、六つの眼をカッ! と見開くと、一瞬で俺の身体が硬直し、地面に落ちた。



「な、んだ……こりゃ……!?」


「種族差だ!! お前はやはり人間か!! 人間が龍の前に立つのは自殺行為って事よなぁ!! 死ねぇ!!」


「ぐがぁっ!?」



 金縛り状態になった俺をリョクは好き勝手に殴り、地面に叩きつけた後に、トドメとばかりに龍の爪を振り下ろした!


 ふざけるなよ! 俺は『獄龍』と呼ばれた漢! 『煉獄龍馬』だ!! 龍にビビって殺されるなんざ、ある訳ねぇだろ!!



「…………クッ!! ゥオラァッ!!」



 パァンッ!! と空気が弾ける音が響き、俺の金縛りが解ける!


 俺は金縛りが解けたと同時に龍の爪を払い飛ばし、両足を揃えて突き上げる様にリョクを蹴り上げた!



「な!? テメェ! 何で動ける!?」


「気合だボケ!! 気合入れりゃあ! このぐらいは訳ねぇんだよ!!」



 俺は反動をつけて立ち上がると同時に《モン紋》を《血闘鬼ブラッドオーガ》に貼り替え、腕にガントレットを身に付けた。



「鬼だと!?」


「テメェも気合入れろや、このまま死にたくなけりゃなぁ!!」


「龍をナメるなぁっ!!」



 落ちて来るリョクと互いの顔面を殴り合い、仰け反る頭を無理やり引き戻して追撃の拳を頭突きで弾き、リョクの顔面を殴り飛ばす! が、それと同時にリョクの膝が俺の腹に入っていた!



「っ痛ぅ!?」


「ぐはっ!?」



 俺は込み上げる血反吐を吐き捨て、リョクのローブを掴んで背負い投げ、地面に叩きつけた!



「がはぁっ!?」



 そして振り下ろす様に腹に一撃を入れると、リョクの足首を地面ごと踏み砕いてそのまま固定した。



「ギャッ!? 足が!? き、貴様何をするつもりだ…………!?」


「…………テメェは強ぇが、喧嘩慣れしてねぇ。マトモに殴られんのは初めてだろ。そんなツラだ。そして、ようやく離しやがったな…………」



 いつの間にかフォレストノームの入った籠はリョクの手を離れて転がっており、俺は六つの目を見開くリョクに狙いを定めた。



「これでもう、アイツを盾には出来ねぇな。俺がテメェを、しっかりミンチにしてやるよ!!」


「たかが人間がぁっ!!」



 下から突き上げて来る爪を躱して腕を掴み、俺は渾身の力を込めて鉄拳を振り下ろした!



「グベェッ!?」



 そして二度、三度と拳を振り下ろす内に、リョクが自分を護る様に広げた両手を交差させた。



「ごぷ…………。ま、待て…………お前の…………スキルが見えた…………。こ、ここで俺を見逃すなら……、お前に力を…………貸してや……るぞ」



 リョクとしては、俺に破格の条件を突きつけたつもりだったんだろう。龍の力ならば誰でも欲しいだろうと。だが、あいにくだな。



「悪ぃがよ。俺の背中にある龍の席はもう埋まってんだよ。それにだ、そもそもテメェみたいな奴の力は要らねぇよ」


「…………なっ!? ま、待て…………!?」



 俺は振り上げた拳をリョク目掛けて振り下ろし、その頭を、地面ごと潰し砕いた!

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