無題
密かに恋してた四ツ谷くんが昨日交通事故で
死んでしまいました。
「2年A組の四ツ谷なお君が交通事故に合い亡くなってしまいました。えー、四ツ谷君はサッカー部に所属していて活発で友達も多くーーーー」
全校朝礼では校長先生が四ツ谷くんの事を語って
黙祷と言っていた。周りはザワザワしていて泣いてる子もいれば興味なさげにぼぅっとしてる子もいた。
私は四ツ谷くんのお葬式にも呼ばれないような
四ツ谷くんにとって、印象の薄い人間だと思う。
でも好きだったの高校で一緒のクラスになってすぐ
四ツ谷くんの事を好きになったの。
四ツ谷くんの健康的な肌の色も笑った時に出来るえくぼも
少しタレ目気味な目元も。
目立つタイプではなかったけど皆に優しい所も
全部全部好きだったの。
四ツ谷くん四ツ谷くん四ツ谷くん
もう学校に行っても四ツ谷くんに会えないんだね
好きって伝える事も出来ないの。
どうして勇気をだして告白しなかったのかな
ううん、それ以前にもっと仲良くなりたかったよ
挨拶だけじゃなくて昨日見たYouTubeの話とか
好きな歌の話とか色んな話がしたかった。
結局四ツ谷くんに会えない今日は生きる意味が
分からなくて途中で帰って夜中までずっと四ツ谷くんの
事を考えていた。
「四ツ谷くん、、」
薄暗い部屋で目を瞑りながら四ツ谷くんのことをかんがえてたら、視線を感じて目を開けた
「よ、、つやくん?」
目の前にはとても驚いた顔の四ツ谷くんがいた
「四ツ谷くん、、!!会いに来てくれたの?!」
ベッドから起き上がると四ツ谷くんが口をパクパク
させた。
「声、出ないの?」
喉を抑えながらこくんと頷く四ツ谷くん
かわいい、、
強く想っていたら私のところに来てくれたんだ!
「もう、、、会え、ないと思ってたのっっ、うれじぃよぉっ!!」
私がいきなり泣いてしまったので驚く四ツ谷くん
抱きつこうとした私を支えようとするけれど
通り抜ける。
びっくりしたのと同時に悲しい顔になった四ツ谷くん
「あ、、本当に、この世にいないんだね」
やっぱり現実なんだ。四ツ谷くんが死んじゃったのは
「1番悲しいのは四ツ谷くんだよね、私が泣いちゃってごめんね」
悲しい顔だけど見覚えのある優しい笑顔で首を振る
四ツ谷くん。
四ツ谷くんはきっと成仏できないんだ
それは四ツ谷くんにとって辛いこと
でも、私は生きていた四ツ谷くんとはできなかった事が
これからできるんだ!!
四ツ谷くんの好きな物や事を知る事もできるし
告白だってする事ができる
それからの毎日はとても楽しかった
なぜか私から離れられない四ツ谷くん
守護霊になってくれたのかな?
1ヶ月、2ヶ月と毎日一緒にいると
どんどん素敵に感じるし好きが増してくる
初めてキスもしたの、旅行だって冬休みに
したよ、もう四ツ谷くんの知らない事はないみたい
色んな表情も見れたよ。
四ツ谷くん四ツ谷くん四ツ谷くんずっと一緒にいようね
四ツ谷くんが私の所に来てくれて3年
とっても楽しい毎日変わらず私が恋したままの四ツ谷くん
でもね、触れ合えないの。心の奥で繋がっていても
触れて体温を確かめることも抱きしめることもできない
キスしたって何も感じない。最初はドキドキしてとても
嬉しかったのに、今は物足りない。
「ーーーねぇ、四ツ谷くん。私達どうしたら触れ合えるのかな、」
四ツ谷くんは変わらず優しい微笑みをうかべる
「こんなに一緒にいて寂しいなんてへんなの、私はどんどん歳をとるけど、四ツ谷くんは高校生のままだね、おばあちゃんになった私を四ツ谷くんは好きでいてくれる?」
触れた感覚はない、けど、手を握ってくれる四ツ谷くん
「四ツ谷くん大好き」
あぁ、そうか、私が四ツ谷くんの所に行けばいいんだ!
なんで気が付かなかったんだろう。簡単な事だよ。
急に立ちあがり台所へ向かう
四ツ谷くんは微笑んで着いてきてくれる
首筋に包丁を当てる
ぐぢぐぢと鈍い音と鋭い痛み
「これが試練なんだね、私と四ツ谷くんがずっと一緒にいれるための。」
私を抱きしめてくれる四ツ谷くん
ゆびさきから熱が無くなる
顔色もどんどんなくなっていく
あぁ、血の気が無くなるってこの事か、
人生最後の発見だね
「ふふっ、これで あえ る」
大量の血液と共に落ちた包丁
重くなる瞼。もう周りは暗闇
待っててね四ツ谷くん
これから私四ツ谷くんの所に行くから!!
「四ツ谷くん」
「 」
「四ツ谷くん!!四ツ谷くん四ツ谷くん!!大好き!」
「ずっと一緒だよ。」
「ねぇ、同じクラスだった更木さん、覚えてる?」
「あぁ、あの大人しい人?」
「自殺したらしいよ」
「マジ?!やっぱあれ?なおくん亡くなってから
ちょっとおかしくなって学校来なくなったやつ?」
「どうかは分からないけど、なんでなおくんにあんなに執着してたんだろねー、いじめ主犯格って感じだったのに喜んでたよね」
「確かにそーゆ感じのカップルだったのかもよ」
「それは無いでしょ他校に彼女居たもんなおくん」
「あーー、、、不気味ぃ」
「ね〜」