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赤の森の大討伐5

ウォータードラゴンを屠った私達騎士団は更に赤の森を進んだ。アルはすっかり元気になった。メガヒールの治癒魔法の効果は凄まじいものだった。ドラゴンの顎にズタズタにされた身体も失った血液も元通りに戻った様だ。今度こんな機会があったら、結婚の言質とってから、治癒してあげよう。え? アルでいいのかって? 今のアルなら私、大丈夫。何よりアルは魔物を倒せる様になったんだ。ちゃんと騎士として収入が入る。ひもは流石に嫌だし、今のアルなら鬼の様に鍛えれば次期騎士団長だって夢じゃない。アルは他の女の子に興味がある様だが、そこは徹底的な管理と束縛で、逃がさん。にへら、思わず、ニマニマしてしまった。


「わ~クリスさん、凄いニマニマな笑顔」


「おそらくアルさんが生還して嬉しいのでしょう」


「いや、それにしてはクリスさんの笑顔に邪気が…」


「そういえば…」


アンとエドヴァルド 感がいいな! なんて事を言い合っているとまたしても魔物が出た、それも…


「あれはエンシャントドラゴン!!」


私は思わず叫んでしまった。見ただけでわかる筈が無いエンシャントドラゴン、しかし、エンシャントドラゴンはSクラスの魔物じゃない、SSSクラスの魔物だ。何故ならエンシャントドラゴンは魔法を使う、スキルすら使う、並みのドラゴンの比では無く強い。


「あれはエンシャントドラゴンです。魔法やスキルを使いますから気を付けてください!」


「何故わかったかは今は問わないけど、とにかく、クリスちゃん、聖歌を!」


「僕は前線に行ってくるよ!」


「私達も!」


「俺も行く!」


セシーリアさんに促されて聖歌を歌う、そしてアル達3人も前線に向かって行った。アルは既にウオーリアのレベルが20位になったそうだ。この数時間Aクラスの魔物を秒殺していた。スキル瞬歩と魔法剣の組み合わせは凄まじい威力だった。アルはほんの数時間でとてつもなく強くなった。


「(アルがカッコよくなった)」


私は幼馴染のアルの覚醒を喜んだ。後はアルが死にそうになるのを待つだけだ。その時、メガヒールと引き換えに結婚の約束させよう。アルにとってもその方が幸せに違いない!


「(わ、私、別にアルにぞっこんじゃないんだからね! 別に何かどさくさに紛れて、婚約してもらって、恋人になるとか、誰もが羨んむ幼馴染同士のカップルになろうとか、アルのお嫁さんになる為花嫁修業をした方がいいとか、結婚式には誰を呼ぼうとか早く考えた方がいいとか! 思ってる訳じゃないからね!)」


そんなアルへの想いを込めて、聖歌を歌う。


「行けるぞ! 普段より聖歌の威力が段違いだ!」


中隊長のフレデリクが叫ぶ。どうも私の汚れの無い? 想いは聖歌の威力を上げた様だ。


「凄いわね。クリスちゃん。これも恋する女の子の力かしら?」


「ええ!? 私とアルが運命の恋人同士だなんて! ええっぇ!? そんな今すぐ婚約した方がいいだなんて! そんな、急に言われても! 駄目です、そんな急に駄目です! そんなにお似合いだからって、そんなに急かさないでください。未だ早いです!? ちょっと待ってください! そんな、もうこの場で結婚しなさい! だなんて!?」


セシーリアさんがとんでもない妄想を言うので私は思わず反論してしまった。


「いや、そこまで言ってないわよ。クリスちゃん…どんなけ可愛いの!?」


「ええっ! 今、言ったじゃないですか!?」


「もう、頬を赤くしちゃって!? でも、クリスちゃんに妄想癖があったなんて知らなかった! もう可愛い!?」


セシーリアさんが抱き着いてくる。いや、女の子同士だからいいけど、何故みんな私の胸に顔を埋ずめたがるのだろう? だが、エンシャントドラゴンはそんな私の気分等お構いないにその絶大な威力を誇った。


「駄目!? アン! エドヴァルドさん逃げて!」


私は感じた。エンシャントドラゴンに魔力が逆巻く、しかも、これは!


「きゃぁああああああああああ」


「うぉおおおおおおおおおおお」


エンシャントドラゴンは無詠唱で魔法を発動した。風の魔法、アンとエドヴァルドさんが風魔法で切り刻まれる。まずい、早く治癒魔法をかけないと!


「エリア・ヒール!」


これは範囲治癒魔法。セシーリアさんが広範囲治癒魔法をかけてくれた。


「中隊長! エンシャントドラゴンの気を逸らしてください! アル! アンとエドヴァルドさんをこちらに運んで!」


「了解! クリス様!」


「わかってるよ! クリス!」


中隊達がドラゴンの気を逸らす。中隊長は魔法を連発した。龍の鱗を貫通する事はできないだろうが、ドラゴンの注意を引き付ける事に成功した。


シュン


残音と共にアルが先ずはアンを連れて私達聖女の近くに来た。


「頼むよ。クリス」


「うん、任せて」


「早速アンちゃんに治癒魔法かけるわね。でも、エリスちゃんは聖歌を歌って」


私はメガヒールの呪文を詠唱しながら、セシーリアさんの言葉に耳を傾けた。


「聖歌は重ね掛けができるかもしれない」


歴史上聖女が複数同時に聖歌を歌ったという話は聞いた事がない。しかし、通常の魔法のバフやデバフには重ね掛けできるものが多い。もし、聖女の聖歌が重ね掛けを可能なら? セシーリアさんはそう言うと、メガヒールの呪文詠唱に入った。そしてエリスちゃんは聖歌を歌い始めた。


「メガヒール」


私のメガヒールが完成する。メガヒールの治癒の威力は私の聖歌のおかげで普段より大きい。たった一回のメガヒールで、アンは意識を取り戻した。


「わ、私、生きて…」


「大丈夫よ。アン」


「クリスさん…」


ほどなくして、セシーリアさんのメガヒールも完成した。


「わ、私、大丈夫みたい。戦えます」


アンはセシーリアさんのメガヒールで完全回復したらしい。そこへ、エリスちゃんの聖歌が完成する。


「効果ありね!」


セシーリアさんの言う通りだった。中隊長の魔法攻撃の威力が上がっている。エンシャントドラゴンの防御力が落ちて、中隊長の魔法攻撃の威力があがったんだ。


「クリス、エドヴァルドさんを頼む」


気がつくとアルがエドヴァルドさんを運んできた。


「エドヴァルドさんの事は任せて」


「アル君、それと私がこれから聖歌を歌うから、聖歌が完成したら、アル君の魔法剣で一気にエンシャントドラゴンの首を落として!」


「わかりました! セシーリアさん!」


いい考えだ。今の最大戦力はアルかもしれない。スキル瞬歩を使えるアルは一瞬でドラゴンの首に迫れる。そして、そこにアルの魔法剣を打ち込めば、おそらくドラゴンの首は落ちる!


私とエリスちゃんがエドヴァルドさんにメガヒールの治癒魔法を唱え終わる頃にセシーリアさんの聖歌が終わった。アルは時々前線の負傷者をこちらに運んで来てくれたけど、これからアルは決死の一撃を放たなければならない。


「頑張ってね! アル!?」


「ああ、任せて、クリスの為に頑張るよ」


アルの私の為にという言葉に酔いしれて私は少々頬が熱くなった。


「ああ~羨ましいわね。お熱いわよアル君もクリスちゃんも」


「もう、こんな時にからかわないでくださいよ!」


セシーリアさんがこんな時にも関わらず、私達を揶揄う。


「行ってくる!」


アルはそういうと、瞬歩のスキルで、前線に移動した。そして、アン達が魔法でドラゴンの気を引いたその時!


「もらった! 魔法剣、ファイヤースラッシュ!?」


『ガキン!』


「なぁ!?」


「ク、クソ!」


信じられない事にアルの魔法剣はドラゴンの首を落とせない。しかし、


「大丈夫よ、アル君、効いてるみたい」


セシーリアさんの言う通りだった。エンシャントドラゴンの首の鱗にはひびが入っていた。後、数回アルが打ち込めば、倒せる! しかし、私は相手がエンシャントドラゴンである事を忘れていた。


「もう一度!?」


アルが更に魔法剣を打ち込もうとした刹那、エンシャントドラゴンの姿は消えた。


「これは?」


「しまった。転移の魔法だ!」


転移の魔法。高レベルの魔法だが、SSSクラスのエンシャントドラゴンなら使えても不思議はない。そして、エンシャントドラゴンの出現する場所は私にはわかった。高濃度の魔力が目の前に渦巻く、魔素が渦巻き、私の探知のスキルにも反応した。


「エンシャントドラゴンが私達の目の前に来ます!」


私は剣を抜き払った。そして、セシーリアさん、エリスちゃんが続く。そして、私は更に高濃度の魔力を検知した。


「嘘でしょ?」


エンシャントドラゴンが私達の目の前に顕現しつつある時、もう一つの巨大な魔力を秘めた魔物が私達の目の前に顕現しようとしていた。


「……聖龍」

連載のモチベーションにつながるので、面白いと思って頂いたら、作品のページの下の方の☆の評価をお願いいたします。ぺこり (__)

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『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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