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冒険者ギルド間新人模擬戦4

 コロッセオの中心で対峙する元騎士の新人冒険者と私。当然、かなりの手練れだろうという事だ。だが、それはそう、ここは一礼し、敬意を払っているテイで、礼をする。もちろん心の中では毒ずく。




「(ひゃっはぁ~! いたぶってやる。うひゃぁうひゃあうひゃひゃなひゃ!)」


「(クリス! 相変わらず最低だね!)」


「(クリスさん最低)」




 何故かアイコンタクトの技能を習得したアンまでもが私を虐める。強い者が弱い者を虐めるのは常識でしょ? 何で私、最低扱い?


剣を抜き放ち、構えると、模擬戦開始の号令が! そして!




「!?」




 私は思わずバックステップでかわした! だが、更に二撃、三撃目が私を襲う! 更に追い打ちがかかった! 私は咄嗟に魔法を発動した。




飛翔(レイ・ヴン)!」




 バックステップから更に空中に跳躍し、更に飛翔魔法で30m近く空に駆け上がる。私の背中には三翼の白い翼が出現していた。前世で良く使った飛翔の魔法。前世ではそれ程レアな魔法ではなかったが、この世界では? そして、私はこの魔法を虚無を使って発動していた。虚無とは魔素と近いくして非なるもの。全ての魔法は魔力と魔素により発動する。しかし、例外があった。それが私、虚数魔法使い、虚数魔法使いは魔素では無く、虚無を使い魔法を発動する。虚無は魔素の100倍のエネルギーを秘めている、魔素に頼る魔法の1/100の魔力で、魔法を発動できる。




「フリーズ。ブレット*5!」




大空に羽ばたいた私は氷の攻撃魔法を放った。しかし、




シュン




 残音を残し、私の攻撃魔法は誰もいない地に着弾する。瞬歩のスキルだ!


観客が一斉に歓喜する。アルとアンの戦いで、想像以上の戦いに場が温まっていた。そこに飛翔の魔法と瞬歩のスキルなど使ったからだろう。だが、彼らはガチの殺しあいになっているとは思っていないだろう。この男、明らかに私を殺しにきている。元婚約者の皇太子様の刺客だろうか? 私は悲しくなった。かつて私は彼を愛していた。私は彼に愛されたくて愚行を散々行ったのだ。自身の罪は認める。だが、それでも命まで狙われると辛い。愛してたのだから...... 


 しかし、まずい、この男は瞬歩のスキルまでももっている、更に、彼が使った技! 模擬戦開始と共にこの男はいきなり私の首を落としに来た。強い魔力を感じ、思わずバックステップで逃げたが更に追撃がかかった、私は咄嗟に空中に避難した。この技、この独特の魔力の感じ、私はこの技の正体が見えていた。




「『妖糸』のユニークスキルね!」


「ほう、この技を知っている者がいるのか?」


「ええ、良く知ってるわ」




 『妖糸』、極めて稀にタレント、ジョブに関係なく、突然女神様の気まぐれで付与されるユニークスキル。その一つが『妖糸』だ。糸に魔力を通し、糸を自在に操る。糸は魔力を秘め、人の首を落とすのもたやすい。しかし、私は前世でこの技を使う者を知っていた。だから、いきなり首を狙われた時、その独特の魔力を検知し、かわした。そうでなければ、今頃、私の首は胴体からおさらばしていただろう。え? ここで亡き者にされんの私? 主人公なのに?




「(しかし、瞬歩のスキルの方がやっかいね)」




 『妖糸』のスキルはそれ程怖くない。妖糸はおそらく女王蜘蛛の糸を使っているだろう。その糸は糸であるにも関わらず、鋼の様な強靭さを併せ持つ。だが、闘気(プラーナ)と魔力を込めた剣ならたやすく切断できる。私は魔法剣を使う事にした。妖糸と相性のいい魔法剣、それは、




颶風剣(ぐふうけん)!」




 そう叫ぶと急速に私の周りに魔力が渦巻く、アンやアルより更に早い速度で魔力が集まり、ほんの数秒で、私の体と木剣に風の魔力が渦巻いていた。


観客が更に狂気する。魔力がないものにも、この魔力の奔流に気がつかない者はいない。そして、アンやアルと違い、更に濃い魔力を秘めた私と木剣は緑の光の煌めきをまき散らしていた。魔法剣の最終形。魔力の濃度が高いと漏れた魔力は風を象徴する緑の光となりほとばしる。


 私の銀の髪は青くほのかに輝く、青い光の粒子と共に。虚無を扱う者は髪に青い虚無の光を宿す。前世の私の髪は今と同じ銀髪だった。しかし、虚無の魔法を使うとその髪は青く染まる。おそらく10分も戦えば、完全に青く染まる。まずい、早く仕留めないと、私が虚数魔法使いである事がバレるかもしれない。私の知る限り、今世で、伝説の暗黒の大魔導士虚数魔法使いの象徴が青であり髪が青だった事は知られていない。だが、この世界には髪が青い者は存在しないのだ。唯一、虚無を扱う虚数魔法使いだけが、髪が青くなる。もし、虚数魔法使いの髪が青な事を知っているものがいれば私は破滅だ。しかし、この対戦者に勝つには、生き残る為には虚無を使うしかない。魔素の魔法ではこれだけの魔法を使う事はできない。私は未だ、Lv1なのだ!




「くらえ!!」


「当たらなけれどうという事はない!」




妖糸使いは10にも及ぶ妖糸の斬撃を同時に繰り出してきた。




翠嵐破衝斬(すいらんばしょうざん)!」




 たまらず風魔法剣の奥義を放つ! 全周に風の魔法の衝撃波を放つ。妖糸は全て風の魔法で切断する。




パリーン*10




 緑の風の魔法の緑の光の煌めきと同時に妖糸が切断される。音が同時に10響いた。


妖糸は完封できた。だが、どうやって攻撃するか? 対戦者に向かって氷の攻撃魔法を放ったが、全てかわされた。瞬歩のスキルを使うものに攻撃魔法を命中させる事は不可能だ。かといって、剣で戦うには近づく必要がある。しかし、私には未だ瞬歩のスキルが無い。剣で戦えば、私が負ける。負けはおそらく死を意味する。


 ならば、一つしか方法はないのではないか? そうだ、点で命中できなければ、面で当てればいい。瞬歩のスキルでも逃げられない位、広範囲を攻撃すればいい。かなりの上級魔法を使う事になる。このまま戦いを続ければ、決着がつかない。早々に決着をつけなければ私の髪が青く染め上がってしまう。そうなったら、私の正体がバレる可能性が高くなる。上位魔法を使うしかないだろう。




颶風(ぐふうれつだん)裂弾(ボム・ディ・ウィン)




広範囲攻撃魔法を放つ!




「ぐあああああああぁっ! ちくしょう……! どうして俺が、こんな目に……!」



私に喧嘩売ったからだ!




「(あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!)」




内心、腹を抱えて大笑いしていた。圧倒的に有利な処からいたぶるって最高!




「(「(うひゃははははははははははははっ!! もう逃げられねえぞぉっ、対戦者!!)」


「(クリスさんもアルさんも、心の中がドブ......)」




 アルは相変わらずのクズぶりだが、何故かアンまで私を褒めてくれる。


それにしてもこの元騎士、相当な手練れだ。私の広範囲攻撃魔法を何らかの方法で軽減した。


本来、決着がついた筈だ。そうすると更に強い魔法を放つしかないか。私は魔法詠唱を開始した。時折、妖糸が私の首を狙うが剣で一蹴した。




「全ての力の源よ 永久を吹き過ぎ行く風よ 盟約の言葉により 我に従い力となれ! 翠嵐衝撃波(ディミルアーウィン)!」




 私の周りに風の魔力が急速に渦巻く、魔力の奔流は緑の光となって現れ、コロッセオの上空に大きな緑の暴風を巻き起こす。


力ある言葉が完成すると、暴風が吹き荒れる、風の刃と共に! その範囲はほぼ競技会場を埋め尽くした。逃げる場所はない!




ごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!




激しい風が吹き荒れ、風の魔力が煌めき、競技会場を一周した。




「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!?」




 対戦者の悲鳴が上がった。無事重症な様だ。おそらく誰かが治癒の魔法を唱えるだろう。一瞬、魔法軽減の方法が一回こっきりだったら、この男死ぬなと思ったが、ま、いっか☆ と思った。






「エゲツない攻撃ですね……味方じゃなかったら、猛烈に抗議してましたよ」




 エドヴァルドさんだ。私が命を狙われた事をわかっていないのだろう。やりすぎなのは認めるが命がかかってたんだから、やむ終えない事を知って欲しいよ。とほほ。




「クリスさん、私の時に派手過ぎるって言ってたのに、私、霞んじゃいましたよ」


「わ、私、そんなこと言ったかしら~?……せ、刹那で忘れちゃった☆」




 アンが珍しく不満そうだ。そうか、アンはこの模擬戦に騎士への道の可能性を考えてたんだ。でも、アンは騎士にさせないわよ。あなたは私のもの。使い物にならなくなるまでは逃げられないわよ。ちゃんと言い聞かせないとね。


 そして、大歓声が上がり始めた。最初、私の魔法にビビったのか、観客は無言になっていたが、今頃、歓喜の声が上がる。


私は、うわぁとちょっと遠い目をしてしまう。ヤバい、この歓喜ぶりはかなり目立ってしまった。戦いの興奮は覚め、今は、どうしようと困っていた。


 そうだ! 女神エリス様のせいにしよう。私はそう思った。女神様が降臨して助けてくれたんだ! 我ながらいい考えである。


私は急いで、審判に申し入れた。




「すいません。私、何も覚えて無くて、その対戦者さんが私の命を狙って妖糸で攻撃してきたのですが、突然意識が無くなって、女神様が私に降臨されたのです。女神様なんです! あれは私のやった事じゃないんです!」


「......君は薬でもやっているのかね?」


「…………え? マジ?」




審判はまさかのサイコさんだった......




「ぎゃはははははははははははははははははははははははははは!!」


「いやああああああああああああああああああああああああああ!!」



 アルは何故か大笑いした。私が困っているのを察したからだろう。え、なんなの? アル、私が困ると喜ぶの? 酷すぎない?

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読んで頂いた読者様ありがとうございます☆ 本作について、 「ちょっと面白かった!」 「島風の新作を読んでみたい!」 「次は何を書くの?」 と思って頂いたら、島風の最新作を是非お願いします。リンクがありますよ~☆ 読んで頂けると本当にうれしいです。 何卒よろしくお願いいたします。ぺこり (__)
『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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