女心と秋の空
「……それ、本当なの?」
「はいっ! 上手く聞き出してみせました! マティアスさんは、顔にも、態度にも見せようとしないだけで、子供時からずっとあなた達2人は両想いだったんですよ!」
「い……いや、ちょっと待て! あのマティアスのコトだ。ただ友達として好きなだけというオチの可能性も……」
「そんなことはありません!」
心配性のジェシーの杞憂をアンナは一蹴すると、再びカレンに向き直って彼女の肩を掴む。
「……カレンさん。もう心配する必要はありませんよ。思いを伝えるなら今です」
「……アンナちゃん……」
「……私は幸運でした。憧れの人だったあなたの方から、友達になりたいと話しかけてきてくれたんですから。……でも、そんなのはレアパターンです。大抵の場合は、自分から行かなきゃ始まらないんですよ」
「……うん、分かってるよ。そしてその邪魔をする障害も……無かったんだね……」
カレンは目を閉じて、静かに天を見上げる。
彼女の閉じたまぶたの裏に映るものは、これまでの自分とマティアスの記憶。
一体、マティアスはいつから私のことを好きになってくれたんだろう?
そもそも、何で私のことを好きになってくれたんだろう?
いや、アンナちゃんのことを信用しないわけじゃないけど……本当に私のことが、マティアスは好きなのかな……?
聞きたいとこが山ほどある。
ああ、早くマティアスに会いたい。
自分の口で、耳で直接聞きたいことが多すぎる。
「……不思議なもんだね。あれだけ怖かったのに、今じゃ1秒でも早くマティアスに好きって言いたい気分だ……我ながら情緒不安定だと思うよ」
「みんなそんなもんですよ。女心と秋の空とか言うものでしょう?」
「……それじゃ、また天気が変わらないうちに動かないとね」
「……あっちが騒がしいな。カレンがなにかしてるのかな?」
「そうみたいですね。リーネさんもそろそろあちらに戻ったら……」
「おーい、ハヤ。お喋りはその辺にしてこっち来てくれ」
「はーい。それじゃあ上司が呼んでるので、また」
「ああ。てかあんたの名前ハヤっていうのか。初めて知ったよ」
「この機会に是非覚えて下さいねー。で、先輩。また新しい任務が出たんですか?」
「ただの任務じゃない……今回は特別警戒任務……SS級モンスター相手の、ギルドをあげた総力戦になる」




