表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/37

マティアスとカレン③

「……爺さん……最近、カレンが来なくなりましたね」


「……うむ。まぁ、あいつにも色々あるんだろう」


 13歳になった頃、カレンが突然爺さんの家に来なくなった。

 それまでの6年間、どんな時でも1週間に1度はここに来ていたカレンが、もう1月も顔を見せていない。


 ……心配だ。爺さんに対して手紙すら出さなくなったなんて……もしかしたら、カレンになにかあったのかも…… 


「……爺さん、カレンの家を教えてくれませんか?」


「……やめておけ。お前が行ってもどうにもならん。……儂が行っても、無駄だったのだから」


 爺さんには、俺の考えていることなどお見通しだった。

 カレンの家を直接訪ねて、カレンがこっちに来なくなった理由を聞こうとしていたことを。


「……何で無駄なんですか? カレンがいいとこの娘なのは知ってますけど、それに関係してるんですか?」


「ああ、その通りだ。カレンの父親は、あの娘に余計なことを教える儂のことを快く思っとらん。きっとあの娘が来なくなったのも、あいつがそう命令しているんだろう」


「……爺さんは、それでいいんですか?」


「……個人的には、よくはない。だが、カレンにとって幸せなことがどちらなのかは……分からない」


「どっち? あいつの気持ちは、爺さんも分かりきってるでしょう? あいつは、敷かれたレールに沿って歩く人生なんて……」


「……思い出せ、お前の両親のことを。冒険者とは、あのような危険な仕事なのだ。いくらあの娘に才能があるといっても、そんな仕事をさせるよりはその辺の男と結婚でもして……」


「カレンがそんなこと望むわけないだろ! 確かに冒険者が危険だってのは分かるけど……それで自分の意思を殺しちゃダメだろ……」


「……儂だって、カレンに冒険者になって欲しくないわけではない。そう思っていたら、あの娘に何年も稽古をつけたりしないわい。……でも、あいつの父親の気持ちも、儂には分かるのだ……」


 ……こんなに情けない爺さんははじめて見た。

 当時の俺はまだガキで、大人ってのは余計なばかり考えて本人の気持ちを無視してるようにしか見えなかったんだ。


「……カレンの気持ちは、俺が一番分かってる。俺は1人でカレンの家に行って、あいつを外に連れ出してやるからな!」


 俺は感情のままに家を飛び出し、適当な馬車を捕まえて乗り込んだ。

 カレンの家がクィーンズという街にあるのは知っている。

 まずは街に行って……そっから先は、その時考えりゃいい!

 今じゃ考えられない行き当たりばったりな行動で、俺はカレンのもとへと向かったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ