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第7話:社長とショッピング!

主人公の名前は美波桜子みなみおうじです。

社長のいっていることに、桜子は耳を疑った。


「あなたを男性モデルから女性モデルにします。芸名はサクラにしたから」


「社長、いったいどういうことです。ぼくは男としてモデルの契約をしたのですよ」


「でも、あなたのうけているモデルの仕事は、女性モデルのほうが多いよね」


「それは、そうですけど……」


社長の意見に、反論ができない桜子だった。

最近の桜子のモデルの仕事は、ほとんどが女性役のモデルの仕事ばかりだった。たった一度だけスーツのモデルの仕事が桜子にあったが、相手のクライアントからスーツ姿が似合わないといわれ、その場でモデルの役をかえられたことがあった。

そのときの桜子の髪は、肩までのびていたから、長髪のサラリーマンなどいないとクライアントにいわれたからだ。


「だからこれからは、あなたは女性モデルとしてはたらいてもらいますから」


「そんな……。社長、それはあまりにもむちゃです」

「むちゃではないわ。もちろん契約書はよんだよね」

「それはもちろんよみましたけど……」


桜子はいったが、じつはそんなにくわしくよんでなかった。

桜子は賃金と就業時間の契約書だけしかよんでなかった。


「うちの事務所の契約書の内容に、職種の変更のことが書いてあったわね」


「それは……、もちろんおぼえています……」


桜子はあいまいな返事をした。


「その職種の変更で、あなたはこれから女性モデルとなるの」


「そんな……」


事務所の契約書をちゃんと読んでいないことを後悔した桜子だった。


「そうそう。もしも契約を破ったりなんかしたら、訴えるからね」


「わかりました社長……」

契約を守らなければ裁判をおこすと、社長は桜子をおどすようにいった。


「それとね。いま着ている服も今後はやめてもらいたいの」


「やめてっていわれても……。ぼくはなにを着ればいいのです」


「もちろん女性の服よ」


「社長なぜですか。社長はぼくに女装しろというのですか」


「女装でなくて、女性になるの」


社長の発言に、なっとくしない桜子だった。

だが社長は、桜子のふだんの動作に問題があるといった。


「あなたには女性らしさが足りないの。心はまだ男なの」


「それはそうですよ社長。ぼくは男なので女性になるのは無理なことですから」

「そこで、いま着ている服を脱いでこの女性の服を着るの」


「それで、本当に女性らしさがでるのですか」


「もちろん、私をしんじなさい。それではいくわよ」

「どこにです」


「決まっているじゃない。あなたの服を買いにいくわよ」




社長の車に乗せられた桜子は、恥ずかしかった。

桜子がいま着ているのは、ピンク系を中心としたボレロとタンクトップと花柄のチェニックだった。

桜子は、最近ではモデルの撮影などでは仕事で服を着ていたのでなんともなかった。

でもいまは仕事ではなく、これからずっと女性の服を着なければならない、

これが桜子にはとてもはずかしくて、逃げだしたいくらいだった。




社長の車がとまった。

着いたところは美容院だった。

社長についていく桜子だったが、なぜ美容院なのかわからなかった。

美容師がやってきて、社長となにか話していた。

社長にいわれた美容師は、桜子の髪を切るので座るようにいった。


「髪のアレンジは、社長と相談したようにしたから心配いらないから」


美容師はそういって桜子の髪を切った。

桜子の髪は、ただのばしているだけだったが、美容師は桜子の髪を見違えるほどきれいに仕上がっていた。

「どうかしら。これで女性の気持ちにすこしは近づいたでしょ」


これまでの桜子のカッコ悪い髪が、美容師の手によってきれいにととのった。




つぎに着いたのはデパートだった。

そこで社長が桜子のために買ったのは女性の服で、社長がいうには、一流のものを持てばその人も一流に見えるから、一流の女性の服を着ればあなたも一流の女性になれると、社長は桜子にいった。




買い物がおわり、桜子が居候している克二の家まで、社長の車でおくってもらった。


「これからは、絶対に私たちが買ってきた服を着ること。わかったわね」


社長が車からさっていくのを見送る桜子。

社長以外にもだれかが服を買ってきたのだろうか。

そんなことを思いながら家に帰ると、克二が先に帰っていた。

克二は桜子の着ている服を見た。

桜子がいいわけをしようとしたら克二が先にいった。

「知ってますよ桜子さん。さっき、桜子さんの事務所の社長さんから電話がありましたよ」


「知ってたの克二くん」


「はい。事務所の社員の人たちが、桜子さんの服を処分して、かわりの服を置いていきましたよ」


桜子は自分の部屋にはいると、タンスの中を見た。

タンスの中のハンガーにかかっていたのは、すべて女性の服ばかりだった。

青ざめる桜子に、克二がさらに追い打ちをかけた。


「それから、社長さんからいわれたのですけど、桜子おうじさんのことをサクラとよぶようにいわれましたけど……」


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