後世、人類学
今後続いていくシリーズの第1作のようなものですが、面白い最後が早く描きたくてこの作品は粗く、わかりにくい事が多いと思います。今後、修正するつもりですがご了承ください。
3作で完結するつもりです。
人類という地球の支配者が消えた遠い未来。ある星から地球外生命体、いわゆる宇宙人が地球へやって来た。その宇宙人は「アンキロ」といい、人類よりもはるかに長い歴史と高度な技術を持っていたが、一つ人類とは根本から大きく異なる機能を持っていた、それは、精神機能だ。アンキロは、言語を持たず一種のテレパシーのような物を使い、コミュニケーションを行なう事ができた。それ故に、嘘をつくことが出来ず、他者を騙す事が出来ない。自分の脳裏に浮かんだ事がすぐに相手に察知されるアンキロ達の世界でもっとも重要なことは、相手への理解と尊重であった。アンキロ達は、その長い歴史の中でたった一度の戦争(戦争といっても人類史にあたるとような大規模なものではなく、議論の加熱による大規模な陣営ごとの暴力抗争であった)のみでそれを理解し、心がけ、時によってアンキロ達は理解・尊重を遺伝子レベルで自ら組み込んでいった。このような優しいき物だからこそ、人類の数十倍の歴史を持ち、科学技術を進歩させる事ができ、なおかつ種を存続させてこれたのであろう。
アンキロ達が地球へとやって来た目的は、地球が生命に溢れた珍しい星だったからである。アンキロ達は知的好奇心が旺盛な生物であったので、地球という未知の塊を発見した後、地球用の宇宙服を作り、少数の生物学者が地球にやって来た。そこでアンキロ達は、歴史上最も難解な謎を発見したのであった。母星では決して目の当たりにしない異形の生物達、未知の物質、これらはただの未知であって高度な生物学、分析装置を持つ彼らにとって謎にすら値しないただの発見であったが、「この星に、かつてアンキロの様に栄えていた生物がいた」という事実は、彼らの知的好奇心を刺激した。生物学者達に継ぎ、様々な学者が地球へ訪れ、その高度な科学技術を使い、多くの事実を発見していった。そうして、地球で栄えた知的生命体を「人類」と名付けアンキロ達は「人類学」に没頭していった。
人類という種に関する情報を発見、解析することは今までも生命が存在する惑星調査を行ってきたアンキロ達にとって造作もないことであった。居住施設、インフラ、エネルギー生産施設から墓まで、アンキロ達は人類が作り上げてきた遺産を完璧に把握し、遺骨から人類がどのような生物だったのかほぼ100%理解した。しかし、アンキロ達にとって理解できない大きな謎が、人類学初期に浮上した。言語というコミュニケーションの方法を知らないアンキロは人類が残したデータを解析することができなかったのである。未知の何らかの規則性を持つ記号にアンキロ達は翻弄された。地球という狭く小さい星で、しかも陸上にしか人類は生息していなかったのにも関わらず、人類達の言語は統一されていなかった。アンキロ達にとって、極小の範囲で異なったコミュニケーションを行っていた、という事実を理解することは困難であった。が、それも時間が解決した。
膨大な時間をかけ、アンキロ達は言語という自らとは異なったコミュニケーションを理解し、翻訳を行うこともできるようになった。人類が残した言語を翻訳するようになったアンキロ達は、ありとあらゆる人類のデータを翻訳し、理解をしようとその知性を極限まで活用することとなった。
この言語への理解、人類が残したデータの解析の終了とともに、人類学は収束へ向かうとアンキロ達は予想していたが、データの解析を行えるようになってから人類学は加速した。人類学中期、アンキロは人類そのものについて理解を深め、恐怖した。人類という知的生命体の歴史は、争いの歴史だったからだ。それは人類が争いを好む習性の生き物であったからと最初は予想されたがこれは、人類の言語というコミュニケーション方法によルものが大きいと最終的に結論付けられた。人類はアンキロと違い他者の心を理解する方法がなかった。それ故に言語というコミュニケーションを発明し、意思疎通を行ってきた。相手の心を言語から予想する、この不安定なシステムに依存した人類は時に、アンキロ以上の優しさを見せるときもあれば、アンキロが想像もできないような怒りや恨みを心に見出してきた。自分以外の誰かのために、自らの命を捨てて障害に挑むというアンキロが決してする事がない自己犠牲という尊い精神を持つにまで至った人類が、なぜ平等に全ての他者を尊重する事ができなかったのか。アンキロ達は、自分たちよりも不安定なコミュニケーション方法を取っていながら高度な精神機能をもった人類に没頭していった。
言語という未知以上にアンキロ達の興味をそそった謎は、人類のデータ解析が半分程度終わった時に見つかった。人類の絶滅についてである。人類は当初、戦争によって絶滅したかのように思われていたがそれは間違っていた。人類は、たった一日、皆が同じ場所で命を絶ったのである。5回の戦争の後、1000人にまで減った人類は、理想的な管理システムを作り上げ、自らを管理し、順調にその人口を増やしていった。しかし、旧人類史でいう所の2200年3月11日、12時に人類は「希望薬」という謎の薬を飲み、絶滅することとなった。
希望薬が人類絶滅の原因であることは間違いないが、希望薬についての情報のみ不自然に消えていた為、アンキロ達はその希望薬という薬について想像するしかなかった。
人類学最大の謎は、ある一人の人類学者が発見した一人の人類が残したメモによって明らかになるが、それはアンキロ達の滅びへと直結することになることは誰も知りようがなかった。いや、たった一人の人間はそれを知り得たのかもしれない。
お話しっていうか、メモみたいな出来ですね、、、
このお話しは「希望薬」へ続いてきます。(まだ完成してませんが)