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#2 異世界の森で2

昨日いつ投稿するかは分からないと書いたのに今日投稿するという暴挙です。気分が乗ったので投稿した後からまた書きました。そして例のごとく次いつ投稿するかは分かりません。今日のようになるかもしれないし、何ヶ月も後かもしれない。あと、直したいところを見つけるとその都度直していくのでご了承下さい。





(取り敢えず周りをみてみるかの)




鬱蒼と巨木が茂るこの森に東雲士郎はいた。そして、自然の生命力に四苦八苦していた。士郎にとって何年振りの森であろうか。しかもここは全く人の痕跡のない、手の入っていない森であり士郎が若かりし頃に遊んでいた森や山とはわけが違うのである。ツタや木の根に足を取られながらも負けじと進んでいく。邪魔な身の丈以上もある草や拳大の虫に呆気に取られつつも剣で払ったり剣の腹で叩き潰しながら道無き道を歩き続ける。完全に獣道である。巨木の隙間から顔を出すとここで初めての小型の生物に出くわした。茶色い毛をした角の生えた両手で抱えられるくらいのウサギだった。



(おおー、可愛らしいウサギじゃのう)



草でも食べるのかねぇとか士郎が思っていたのも束の間、そのウサギは何かに狙いを定めると....



ズドンッッ!!!!



脚の筋肉が一瞬膨らんだかと思うと物凄い勢いで吹っ飛び、先程士郎が剣の腹で叩き潰していたのと同じ虫を巻き込んで巨木に突き刺さっていた。そして角から獲物を抜き取ると紫色した体液を口の周りにベッタリとつけながら貪り喰っていた。



(........怖っ!凄い怖いんじゃけど!!)



生き物って見た目じゃないなと思いながらそそくさとそこを離れる士郎であった。

暫く進むと少し開けた場所に出た。そこには今まで周りを覆い尽くしていた巨木とは違う種の木があった。

それまでの巨木はユーカリに似ているのに対してこの木は....



(竜血樹(リュウケツジュ)に似ておるの....)



地球に存在する見た目としては茸のような形の常緑高木である。確か世界で最も長寿な木で、名前の意味は竜血が採れる木という感じだったか。意味が分からんな。それはそれとしてこの竜血樹モドキが地球のものと違う点は通常ならオレンジ色の果実がなる筈なのだが目の前の木は鮮血のような濃い紅色の果実がなっているというところである。果実の大きさもおかしく、普通なら小さい粒が沢山寄り集まってなるのだか一つ一つが林檎ぐらいの大きさである。というか木自体もデカすぎである。



ぐるるるーー....



別にモンスターの唸り声とかではない。単に士郎の腹がなったのだ。

彼はまだ異世界に転生してから1度も食べ物を口にしていなかった。彼此(かれこれ)もう5時間は動きっ放しである。まあ、時計がある訳ではないので感覚的な話なのだが。

とりあえず手に持ったままだった革袋の水筒の口を開け、中身が水かどうか掌に出して確認してみる。...どうやら水のようだ。士郎はおもむろに水を飲み始めた。要は水で腹を誤魔化そうとしているのだ。



(しかし何故、天国にも関わらず腹が減るのかのう…つくづく不自由じゃの...それとも、そういうバツか?)



水を口に含みつつ、見当違いな事を考えている士郎。

本当なら目の前に惜しげも無く実っている紅い果実でも食べればいいのだが、何分実っている位置が高すぎる。

さっきもデカいだの何だのと書いたが周りの木よりもなんというか、頭3つ4つは抜きん出ている。当然その果実も高い所に実るのは想像に難くないだろう。



(あんなに高いと石など投げても当たらなそうじゃしな)



足下にあった石を眺めながら打開策を考える。因みに登るという選択肢は無い。昔のように怖い物知らずの無鉄砲だった少年時代ならあるいは登ったのかもしれないが、残念ながら士郎は自分の身体能力が老いによって低下していることを知っている。



(となると助走を付けて木の幹目掛けて蹴りを入れる…なんて事も無理そうじゃな....いや、待つのじゃ…)



そもそもここは天国なのだから老いた身体など関係ないのでは無いだろうか?身体など地上に置いてきてしまっているのだから。それの証拠に、立てないほど老衰し枯れ木のような身体になっていたのにここまで歩いてきたではないか、自分の足で立って。



(それに心做(こころな)しか身体が軽いように感じるし、いけるかもしれんのう!)



士郎の勘違いは加速するばかりだった。

やる気になった士郎は早速十分な助走距離を得るために歩き出す。ユーカリに似た木の辺りまで行くと振り返り標的となる竜血樹モドキを見据える。

距離としては200〜300メートルくらいだろうか。



パンッ!!!!



自身の両の頬を叩く士郎、気合い充分である。そして足に力を込め勢いよく踏み出す。数十年振りの全力疾走だ。両手を交互に素早く振り、その反動で右足左足と繰り出していく。身体で風を切る感覚は随分久しく、士郎に爽快感を与えていた。

そして竜血樹モドキのその巨木が眼前に迫ってくると左足から力強く踏み込み....飛んだ。

士郎はありったけの力を巨木に叩き込んだ。

だが....



「痛ったぁあああーー!!!!」



士郎は思わず叫んでいた。そしてその場で転げ回る。士郎からしてみれば言わば今出来る全力の一撃だったのだが、竜血樹モドキはビクともしなかった。というか傷一つ付いてない感じである。

樹皮が硬すぎる....。例えるなら鋼鉄製の鎧だ。それを素足でしかも渾身の一撃といえなくもない勢いで蹴ったのだから結果は言わずもがなである。

巨木にダメージを与えようとして逆に負傷してしまった哀れな士郎は痛みに悶えつつも何とか立ち上がる。若干涙目だ。



「何が天国じゃ....腹は減るし痛みもある、生きている頃と何ら変わらんではないか」



ここまで来ても気が付かないのが士郎という人物である。

士郎が気が引けるがやっぱり登るかのうと考え始めた時、



ドゴーーーン!!!!



巨木が揺れた。


自分のイメージを話に起こすのってやっぱり難しいですねぇ。


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