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#1 異世界の森で1

なろうで他作品を読み漁っていてまた書きたくなったけど、前回書いてたものの世界観とか展開とか忘れたので新しく書き始めました。文才はありませんが、というか文系でもありませんがもし良かったら読んで下さい。あと、完全に趣味なので次いつ投稿するかも分かりません。





良き人生じゃった....。



そこには老いて枯木のようになった老身が横たわっていた。


彼、東雲士郎72歳は死に際の残り少ない時、自身の生涯に思いを馳せていた。


何でもない普通の農家に生まれ、けして裕福では無かったが何不自由なく生活できた。少年の頃は野や山を駆け回り、田んぼで虫を捕まえたり、川で魚をとったり。それはそれは楽しかったものだ。

それに沢山の素晴らしい人達に出会うことが出来た。青年期になり仕事を探し田舎から出てきて右も左も分からないワシを見下したりせず、真摯に向き合ってくれた妻。口調は荒っぽいもののきちんと仕事を教えてくれた上司。食堂で働く元気が取得みたいな膨よかなおばさん。色んな人々に返し切れない恩がある。精一杯誠実に生きてきたが、少しでも返せただろうか....。

子宝にも恵まれた。2人の子が生まれ、そしてワシの血は引き継がれ愛しき孫たちにまでバトンは渡された。目に入れても痛く無いくらいに可愛い。この子達の成長する姿を最後まで見届けることが出来ないのは残念だが、何も心配はしていない。自慢の息子達の子だ、立派になってくれるだろう...。



息子夫婦と愛しき孫たちに看取られながら東雲士郎は安らかに、眠るようにその息を引き取った。







白を基調としていながらも壮麗な宮殿がそこにはあった。絢爛華麗であり、柱や天井には見たものを魅了する程の洗練された美しい彫刻が施されている。神々しく神聖な場所であるのは誰の目から見ても明らかであろう地.....そう、神々が集う天界であった。

その一室に退屈そうに欠伸をしている一柱の神がいた。彼というべきか彼女といべきか、どちらにしても美しく中性的な顔立ちをしている。たが...心ここに在らずというか、言ってはなんだが間抜けな顔をしていた。その神はこの何もない悠久の時に飽きていた。その神の仕事は世界を静観すること。それが上司である創造神から賜った命令だった。

そう、見守るだけである、世界の行く末を。行動を起こすことはなく、永遠と。故に、退屈していた。

そんな何一つ変わらない日々の中、ふと世界の境界の間、虚無に漂う一つの魂を見つけた。

虚無....それは世界と世界を隔てた無限の闇。そこは何一つ存在することが許されない場所、言わば絶対不可侵の領域である。そして本来人というのは、その生涯を終えると自分の生きた世界の天界へ行き人生の行いについて清算したのち、転生する時が来るまで天界にて修行を積むものである。

ではそんな禁じられた地に魂があったらどうなるか?(ことわり)から外れているそんな存在は勿論消されてしまうだろう。

どういった経緯があって虚無に魂があるのかは知らないがその神の興味を引いてしまった。

神はこのままでは来世を得ることもなく消滅してしまうであろう人の魂を不憫に想いこちら側の世界へ摘み上げることにした......完全に建前であるが。

何がしたかったのか?要は単なる悪戯心である。静観なんてつまらない仕事を押し付けた上司に対する反抗心ともいえるか。どうせ1人くらいこちら側の世界へやった所でバレやしないのだとそんな軽い気持ちであった。

この摘み上げた魂が世界をかき回してくれたらさぞ楽しそうであるが、まあそうならなくても構わない。良くも悪くも自分の仕事は変わらないのだがら。そうして神はその魂をこちら側に移すとあっさりと転生させてしまった。

それは気まぐれだったのかもしれない。だが、その気まぐれが東雲士郎という終わるはずだった歯車をもう一度世界に、大きな歯車に噛み合わせることになったのだ。







鬱蒼と茂る森の中で士郎は目を覚ました。ここは何処であろうか?それが重たい瞼を持ち上げた士郎が最初に考えたことだった。

眼前に広がるのは見渡す限り木、木、木だ。しかも日本でよく見かけるような太さの木ではなくその5、6倍は幹が太いのではないかと思える巨木が生えているのだ、それも至る所に。

またその高さも普通ではない、もしかしたら130メートル以上あるのではないだろうか。見上げると首を痛めそうである。

そんな木々の間になんの植物か分からないツタが垂れ下がっていたり、朽ちた巨木があったり、青々とした苔が生えていたり。時折鳥が羽ばたく音やガサゴソと生き物が動く音がどこからか聞こえてくる。おおよそ人の手が全く入ってない、自然に任せたままの森という印象である。


「天国っていうのはこんなにも生活しづらそうなとこなのかのぅ」


士郎がそう思うのも無理はなかった。なにせさっきまで病院の清潔感溢れる白いベッドで息子達や孫達に看取られていたのだから。既に自分が死んだのは理解しているのだろう。転生したことは理解してないようだが。

ふと横に目をやると見慣れない素朴な剣と草臥(くたび)れた革袋の水筒が置いてあった。誰の物かは分からないがこんな所に放り出されてしまった以上致し方ない。

これらの持ち主に深く詫びと感謝をしてから(まあ、神が放り出す時に最低限のものを寄越しただけであるから士郎の物なのだが)拾い上げてスっと士郎は立ち上がった。


(取り敢えず周りをみてみるかの)


士郎は天国と勘違いしたまま、異世界の地を歩き出したのだった。

書いていくうちに慣れようと思います。文章が上達するといいですね!←他人事

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