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はじめに  作者: 師走
5/601

5

柿の木にね

猫が登ってたの

別段不思議でも

何でもないでしょ


あらあら、そうかい、

それで、猫は、

そこから、落ちたのかい、


ううん

そんなことないわよ

お母さん

あのね

本当に

柿の木にね

登ってただけなの

猫だもの

簡単に落ちたりはしないわよ


そうね、ふふふ、

それで、その猫は、

どんな色をしていたの、


ああ

それね

ほら

いつもこの家の前を

通っているのって

白黒の猫でしょ

でもね

その柿の木にいたのは

オレンジっぽい猫だったの

可愛らしいのよ


そうかい、それは、良かったね、

サァ、そろそろ、お味噌汁も、仕上がる頃だし、

手を、洗って来なさいな、


お母さんお母さん

その猫はね

綺麗だったんだよ

綺麗だった

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