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サメのヒレを一枚二枚と剥ぎ取った
心配しないでも、サメにはまた生えてくる
私はこれらを持ってトランプカードのようにシャッフルしながら、貴族たちに売り歩くのである
もちろん多くの買い手はおばさまで、フカヒレスープにしてコラーゲンを摂りたいのだと身震いしながら言う人がほとんどである
時折、これを買うや否やそのまま口へ放り込んで噛み下してしまうおせっかちもいる
そうかと思えば紫と赤の裾のおそろしく長いドレスを着たお得意さんは、きつい香水の匂いをぷんぷかさせつつ無言でそれを受け取って、胸元にそれを隠し、夜中誰もが寝静まった頃に料理人を呼びつける
どうしてそれほど隠したがるのかはよく知らない
けれど私の手元にはきちんと折り畳まれた万円札が数枚増えている
ヒレをすっかり売り捌いてしまった後は
自分の掌に付いた匂いを鼻ですすって
ポケットに入った札束を意識しながら港街を歩く
つまらなくなってきたら、万円札をトランプカードのようにシャッフルするだけさ




