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柿は硬い
実を言うと
あまり好きだとは言えない
嫌いでないのはまだ良かった
しかし
秋はあいつを食べるのが
粋なのだ
赤っぽく膨らんだ果実に
刃物を差し入れて
噛んでしまうのが
風流であり
文学的ですらある
それができないということは
全く情けないではないか
爪楊枝で串刺しにして
小さな皿に寄せ分けられて
茶色の種まで見えている
それ自体が
俳句となり得る存在である
私が食べたら
尚良かろう
そういう風に思っている
しかしながら、
しかしながら、である
1つ安心できるのは
私があまり柿を好まないという状態を
このように文字で表すことが可能であるということだ




