20/629
21
草が伸びているね
黒く汚れた
プラスチック製の工場の壁が
すぐ迫る地面に
細く小さく控えめに
けれど
草なんだね
最初に生えた草は
鳥にでも運ばれてきたのだろうか
それとも、風かな
緩やかそうで
何よりだよ
往来を歩く人たちを
ずっと見ているわけだろう?
目がちゃんと開いているなら、それを見てなにを思っているんだい?
踏みつけられるのが怖いかな
いや、みんなそうやって遊ぶ余裕もなさそうだよね
せかせかしてるって思うかな
それとも
動き回れることを羨ましがってる?
ほら、太陽だよ
このところ局地的な雨ってのが
多いよね
それでもこうやって元気なんだね
犬からシッコをもらうことくらいはあるだろう?
我慢するのかい?
耐えるな、発散しろ、という人もいるかもしれないけれど
君達はそれができないものね
でもさ
居住地が決められて縛り付けられて逃げれなかったら
もう諦めがついてさ
かえって楽かもしれないね
逃げるか逃げないかの選択肢が残されてないんだもん
ああ、揺れてるね
君は立派だと、
思ってみたりもするよ




