大日本帝国海軍ノ誇リ―航空戦隊編―
現在、日本海軍の所持する空母は10隻に上る。
以前は軽空母『鳳翔』、『龍驤』の2隻と、『天城』型航空母艦、天城、赤城、葛城、雁城の4隻の計6隻だったが、ここに新型空母の『蒼龍』、『飛龍』、そして改飛龍型である『雲龍』、『瑞龍』の4隻が加わり計10隻の空母が就役することになった。
4隻のうち初めに作られた蒼龍は1934年に起工された。
ロンドン軍縮条約が事実上消滅したために小型空母の必要性や、有事に空母に改装する補助艦艇の必要性が無くなり、大型の正規空母を建造することが急務となった。
しかしながら日本に大型空母の設計経験は殆ど無く、唯一の大型空母も改装によって作られており、位置からの大型空母の設計は初めてであり、試作として若干小型の、天城型より小型な空母を設計し、問題点を探ることになった。戦後バブルは未だ継続しており、それが出来るほどの余裕があったのだ。
そうして出来上がった船体は、全長229m、最大幅27,6m、満載時吃水9mの、全長に対して太目の船体になった。が、容積の余裕から搭載量を大きくすることができた。
飛行甲板は240m×28mの大面積を確保し、エレベータは3基設置された。ギャラリーデッキと呼ばれる飛行甲板直下の空間が新たに設けられていて、様々な設備がその中に設置できるようにできるようになった。
ホ号艦本式ボイラー10機は公試全力21317馬力、35,474ノットを叩き出す。従来に比べ小型化、高出力化されたホ号ボイラーは400℃35kg/平方cmという高圧力から来る高性能と低燃費に因って機関、燃料に使用する容積を大幅に削除することに成功した。推進軸は各種艦艇で採用されてきたシフト配置として、被弾時の冗長性を確保している。
65口径九五式10cm連装高角砲8基16門、九〇式20mm連装機銃20基40挺、九六式28連装対空対潜噴進弾発射機4基の充実した対空兵装は、鳴瀬型から引き継がれた防空指揮所からの足並みの揃った照準が可能だ。
艦首は飛行甲板まで伸張された、所謂密閉式となっており、乱気流の防止と格納庫、居住施設の増設を可能にした。
搭載機数は常用69機、補用18機と本来の計画よりもかなり拡大されることとなった。天城型と比べて格納庫が大型化しているのもその要因だろう。
それらの艦上機は、航空管制指揮所からの戦術的な管制を受けることが出来るようになっている。
飛龍は蒼龍を基にし、艦橋を試験的に煙突で船体を挟むように左側に移した。そして指揮系統の効率化簡素化を図り、格納庫を大型化して搭載機数を増加させた。
しかし全長を235mに拡大した以外はこれと言って船体は蒼龍と変わったことは無い。一部の資料では蒼龍型2番艦という扱いを受けている事もある程だ。
雲龍型は、飛龍の発展型として、そして日本海軍の量に於いての主力艦となるべく様々な改造が施されている。
船体は飛龍と同じ235mであるが、全幅は28mと少し広がっており、形状に直線的な部分が多くなっている。船体を直線化するのは海防艦での採用によって速度にそれほどの違いは出ないというのが分かっており、雲龍型を数に於ける日本海軍の主力艦とするつもりの軍令部としては採用不可避の技術だった。
米ソとの戦争の可能性が年々高まっていると感じている軍令部としては、ソ連に対しての陸軍への航空支援とアメリカとの海戦を同時期に行う事も想定されている。その為、アメリカの小型空母とは言わないまでも、10隻以上の雲龍型が必要になると睨んでおり、その為量産しやすい空母が望まれているのだ。
飛行甲板は木材ではなく、ゴム液に珪酸ソーダと木屑を混ぜたラテックスを使用した。将来、木材の供給不足が深刻化する事もありえ、戦艦や重巡と云った大型艦に使用する木材の不足を防ぐ為、ラテックスが採用されることとなった。八八艦隊建造時の国内木材の枯渇が叫ばれたのは未だ軍民共にトラウマとして残っている。
エレベータは飛龍と変わらず3基であるが、そのうち1機を艦橋と反対側に艦舷エレベータとして移動され、残った2基の位置を調整、大型化して将来登場する大型飛行機に対処すると共に、艦舷エレベータは荷物昇降機と兼用することが出来るように設計され、航空機積載、貨物積載の苦労が大幅に減少すると見込まれている。
艦首は変わらず密閉式であるが、射出機が設置できる空間が艦首近くの飛行甲板下に確保されており、雲龍型に搭載できる小型射出機が開発されたら即座に搭載できるようになっている。
格納庫は艦舷エレベータの設置によって擬似的な開放式となったが、それ以外に艦尾のほうに格納庫を移動させ、艦尾の壁を床から1m程まで切り欠いて爆風を逃がす空間を増やした、格納庫が船尾に移ったことによって居住区が船首の方に集中することとなり、居住性の向上が行い易くなったという副効果もあった。
搭載機数は常用57機、補用15機と減少しているが、それは格納庫後部が開放された為、格納庫のうち一段の後部スペースの一部を整備作業用に割り当てて、補用機用のスペースも修理用の部品を飛龍と比べて多めに搭載している為である。
対空兵装も10cm高角連装砲を10基20門、20mm連装機銃22基44挺、噴進弾発射機6基に増加され、これも搭載機減少の一因であろう。
現在2隻が船台にあり、計画では1945年までに合計計14隻が就役する予定だ。この数字に日本海軍の本気が伺えるであろう。
現在、天城と赤城が第一航空戦隊、通称一航戦を形成し、葛城と雁城が二航戦、蒼龍と飛龍が三航戦、雲龍と瑞龍が四航戦、鳳翔と龍驤が五航戦という配置になっている。
九六式艦上戦闘機と九七式艦上攻撃機が制式採用されたことにより、搭載される航空機は世界トップクラスと言って良いのだが、代わりに空母の、特に主力である天城型4隻の旧式化が目立ち始めた。
天城型は、4番艦『雁城』以外は巡洋戦艦からの改装時に三段甲板を採用した。雁城は木材と予算の不足、工期の短縮を命じられた為に一段の広大な甲板を持つこととなった。
しかし運用していくにつれて三段甲板の長所が机上の空論に等しかったことが判明し、昭和12年、蒼龍以下4隻の就役と共に大規模改装を実施することになった。
雁城の経験を生かし、新型缶を搭載する、電探を最新のものに換装する、鳴瀬型のものを更に推し進め、空母用に作り直された防空指揮所を搭載する、空母航空管制所が設置される、エレベータの増設、対空兵装の更新といった改装を施して一線級の最新空母に生まれ変わらせる他、最新技術の油圧式射出機を搭載することが決定された。艦上機の高速発艦の為に、そして艦攻の重武装化、重量増大が進むにつれ、発艦時の補助が必須になると予想されたからだ。
改装後の想像図を見ると、右舷に少々大型化した艦橋に、日本の十八番の下方煙突、その反対は艦舷エレベータが設置され、重量バランスと発艦時の効率化を図っている。
電探のアンテナは艦橋のもの以外はなんと起倒式になっており、非使用時、発着艦時は邪魔にならないようにされている。対空火器は増設され、10cm高角砲に総取替えがなされて20cm砲は取り外される。
外見上の最大の違いは、艦首が飛行甲板まで伸張されており、乱気流の防止と格納庫、居住施設のスペースの増加、カタパルトの設置場所の確保を成し遂げている。
新型空母の試験用として4隻共にバルバス・バウが設置され、船体の形状修正と合わせて燃費の向上も行われ、バルジの増設や隔壁の改良、最下格納庫の床を装甲とし、燃料保管タンクをゴムとコンクリートで覆い、航空機用燃料タンクも然り、弾薬庫は幾分割されるなどの内部の改修も行われ、被弾時の対抗性も大幅に向上する事となる。
艦首が密閉式になっていることから、少し見ただけでは同じ空母とは思えず、カタパルトの設置は発艦作業の時短を可能にし、戦術上の柔軟性が広がったといえよう。
搭載機は常用78機、補用30機と増加して、無線装備と電探兵器の充実化から効率的な運用が可能になるだろう。
これらの改装には蒼龍等の経験が生かされており、エンクローズド式の艦首にそれが見て取れるだろう。
改装の終了は1939年を見越しており、完成予定の新型空母と共に戦列を張ることとなるだろう。
現在統技研造船部では雲龍型を拡大発展させた大型空母の設計を行っている。
金剛型、扶桑型、伊勢型の8隻を代替する新型戦艦と共に、アメリカ、ソ連の軍艦を蹴散らしてくれるものと期待されており、その責務は重いものとなっている。
空母に関しては、他の艦種同様世界の最先端を行っているという自負があり、新型空母が完成すれば日本はアメリカにも負けない大空母艦隊を保持できるという、軍民ともが持つ圧倒的な自負が存在している。
しかし、それらが運用する航空機は未だ他先進国に比べて強力とは言い難い。現在世界一の航空機を作らんと航空機会社や統技研の技師達が日夜開発に没頭しているのだ。
解説、余談
各空母大改造、でも多分これぐらいやっても数でアメリカに喰われる……
感想、評価、指摘宜しくお願い致します。