陸軍歩兵装備其之二
展示会に出されている兵器は全て実物であり、実射可能なものもある為、展開している憲兵はクーデターやテロリズムを警戒して武装している。
九四式拳銃と九四式機関短銃を持った物々しい憲兵達はその錬度と親しみやすさから子供にも人気があるのだという。
九四式拳銃と九四式機関短銃は、同じ九四式拳銃実包を使用する銃器である。
中国国民党との対中国共産党戦線に於いて、市街地戦、近距離戦、夜間斬り込みが従来の予想以上に多くなると判明したこと、対米戦での諸島に於いて熱帯雨林内の遭遇戦が殆どになるという結論が出たために機関短銃の量産配備が急務であることが判明した。
しかし、従来の8×22mm南部弾では量産性と威力が伴わないことが分かっていた為、ドイツの9mmルガー弾を参考に新規に九四式拳銃実包を開発した。
弾丸を南部弾と同じ7gとし、口径も8mmのままで、ボトルネックだったものをリムレスストレージの薬莢とし、変わりに火薬量を増やして威力を増やしつつ、量産性を向上させた。8×25mmと少し大型になったが、全幅が小さくなった為見た感じは南部弾よりもスリムに感じられる。
九四式拳銃は、九四式拳銃実包を使う小型な拳銃として開発された。
従来の日本陸軍将校は拳銃を自費で購入していたが、拳銃弾の補給が困難である上諸外国製が殆どだった為、日本製の、正装でも懐に忍ばせておける様な小型拳銃が必要になった。
小型で将校に人気のあったベルギーのM1910とアメリカのM1911を元に九四式拳銃実包を使用する拳銃として開発され、南部麒次郎の設計したハンマー式の拳銃との競争試作を勝ち抜いたものだ。
見た目はM1911のスライドストップと照準機を取り付けたM1910であるが、スライド含むフレームを全てプレス加工と溶接によって作られていると云う特徴がある。
ストライカー方式を採用しているこの拳銃はM1910に並べても遜色ないほどスリムな形状をしている。
安全装置は銃杷のグリップセーフティと、マガジンを抜くと引金の後ろに金属片が飛び出して物理的に引金を動かないようにするマガジンセーフティの二つが付いており、マガジンストップを含めると3つの安全装置があるのはM1910と同じだ。
構造は元になった2つの拳銃に比べ非常に簡略化されており、製造に整備、管理が非常に簡単に済むようになった。
弾倉は単列式だが銃杷は長く、機関部を含めると8発、弾倉だけなら7発の弾丸が装填できる。用心金と引金は手袋をつけたままでも引っかからないように大きく作られており、スライドストップも大きく、寒冷地での使用が考慮されている。弾倉取り出しボタンも直径が大きく、一般的な銃よりも大きく飛び出ている
。
主にM1910を使用していた者に優先的に配備され、良感情を持って受け入れられた。十四年式拳銃よりも小さく、扱いやすく、性能の良い九四式は、将校のほかにも戦車乗りやパイロットの自衛用火器としても使われるようになった。
九四式機関短銃は、九四式拳銃実包と同時に開発された機関短銃である。主に市街地戦を目的として開発された。自衛用火器として輜重特務兵全員に配備できるように量産性を第一として設計され、一般的な銃器には使われていた木製部品が一切使われていないのが大きな特徴である。
大量生産が出来るように部品点数や加工点数を大幅に削減し、まともな安全装置が付いていないそれは、「弾が撃てれば良い」と言わんばかりだった。
外見は小さい割に全長が大きい様に見えるが、その殆どは銃床と銃身であり、機関部……正確には銃杷から弾倉装填部までは非常に小さく纏められている。弾倉は横向きに装填され、伏せた状態で撃つのが楽になっている。
プレス加工で作られた円形の外板の中に機関部が納まっており、その先端から銃身が飛び出しており、後端は塞がれている。遊底は機関部や銃身の根元を包み込むような形になった通称「包み込みボルト」が採用され、全長の短縮に役立っている。撃針は遊底と一体化している。
銃床は一本の針金を折り曲げて作られており、銃本体に溶接され、銃杷は九五式軽機関銃同様プレス加工で作られている。
機関部の中ほどから後ろに向かって直方体状の出っ張りが飛び出ており、そこに銃杷や銃床、引金が取り付けられ、発射機構が内蔵される。
銃身は外板と同じネジが切られた板で押さえつけられている。が、ネジが緩むようなことは殆ど起きず、連続発射は最大400発までなら射撃が可能だ。
この戦時設計と言いたいような使用ではあるが、耐用年数は15年を見越して設計されており、特に不具合があるわけでもない。製造開始から2年と少しであるが、既に配備される予定の部隊全てが装備しており、憲兵といった想定していなかった所にまで十分な数が配備されている。中国国民党軍にそれなりの数を輸出できるほどの数が生産されており、東南アジアのゲリラにも密輸している。輸出先では十分な稼働率と簡単に整備できる事が喜ばれ、東南アジアでは、銃床を切り落とす等の改造が施され、植民地軍との戦闘に主力として投入されている。
現在、中国大陸では日本陸軍第一方面軍と中国国民党との共同戦線が展開しており、共産党をゴビ砂漠、青海省、四川省、雲南省以西にまで追い詰めることに成功している。中国各地に散らばっていた軍閥は全て国民党と共産党に吸収されており、中国大陸は国民党+日本+資本主義連合国対共産党+共産主義各国という構図になっており、その戦いは日々苛烈さを増している。
国連では、満州ソ連国境から資本主義陣営対共産主義陣営の第二次世界大戦が始まるのではと日々準備が進められており、ドイツの周辺国への侵略行為は完全に無視されることとなり、ポーランドへの支援が大規模になってきた。ドイツとポーランドを、欧州での対ソの壁とすることに決定したのだ。ソ連ポーランド間の国境にはポーランド版マジノ線が着々と完成しつつあり、
解説、余談
九四式機関短銃の見た目は、銃床が固定されているM3短機関銃みたいな感じ。
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