秋
弱々しくもいまだに瞳の奥を焦がすような太陽が今日もじんわりと視界を攻め立てる。
木製のてらてらとした学生机がその光を受け止めては反射して辺り一面が柔らかな光に満ちて、だけどどこか物哀しいのは重々しい雲の群れが空を灰色に染めているからだ。
ポロシャツの半そでから覗く、こんがりと黒く日に焼けたあなたの腕が、きちんとアイロンのかけられた白いシャツに隠されてからまだ日は浅いというのに、懐かしさと物足りなさが私の胸をじわじわと埋める。
それと同時に、まだ幼いあなたの首に凛々しく絞められた緑色のネクタイが眩しくて目を細めた。
久しぶりに出会う、もう一人のあなたが愛おしい。
そして、当分会えなくなる、今までのあなたが恋しい。
心細く冷え切った秋の風が、窓から教室を駆け廻る。
そっと触れたあなたの肌、あなたのぬくもり。
こんなにも恋しくなるだなんて知らなかったはずだった。