【4ー12】
【4ー12】
村山が体育館にも戻って来ると整列させた全校生徒の数が減っている事に気がついた。何百人といるが、綺麗に列を作らせたので穴があるとすぐに分かる。
ドアの前に監視役の生徒を置いたのだが、機能しなかったようだ。
五人も置いたのに使えない。
村山は集まって座っている五人の生徒に上から声をかける。
「あのあのさ、さぁー、僕、僕らはなんて、なんて言ったけ?
だ、誰も外に出すなって、い、言ったんだよ」
「あ、あの止めたの……」
「だ、誰かをもし、そ、外に出したら、こ、殺すって言ったよね」
「だから……その」
「う、う、ううるさいんだよぉぉぉ」
村山は叫ぶと腕を振り上げる。大気が渦巻く音がして振り下ろした腕に沿って空気が唸る。
淡い緑光が刃の様な形をもって出現する。
それを振り切る。一振りで目の前の生徒が吹き飛び血飛沫があがった。
悲鳴があがる。怯えに満ちた表情でこの場所が満たされていく。一つの感情に包まれていく。
最高だ。
村山は、あまりの興奮に笑いが止まらない。
今、ここには絶対的な階層がある。
全てが思い通りなのだ。
「ぼ、僕は今無敵だ、無敵なんだ。だ、れも楯突くことなんて出来やしない。
村山の言葉は高々と響く。否定など誰にも出来ない。それだけの、力があった。目の前でそれを見せつけるだけの。
「美樹さん!」
扉をけたたましく開け放って一人の女学生が肩をいからせながら体育館に入ってきた。一歩一歩踏みしめるたびに床が揺れるのではないかというほどに存在感を誇示しながら。
「村山ぁぁぁ!」
村山は気付いた。女学生の顔には見覚えがある。
いや、忘れられるはずが無い。
顔と声に似合わずに勝ち気な性格。変わり者とされていたあいつ。
ある日急に学校から姿を消した、あいつ。
鷺宮こよりと一緒にはぶられていたあいつ。
村山が、目を離せなかった存在。
伏見美樹だった。