【4ー10】
【4ー10】
保健室に内側からかける鍵があったのでひとまず璃瑠に閉めさせた。
「やっぱり伏見さんでしょ?」
どう答えたものかな、と私は途方にくれているとベッドの上にいた女学生は泣き始めた。
泣き腫らした眼を更に泣き腫らして、涙を絞り出す様に泣く。
どうしたもんかな、と私は途方にくれた。
「美樹さん、足音がします。その人、黙らせてください」
お前も美樹って呼ぶなよ。正解言っているようなものじゃないかよ。
なんで事件に関係ないところで頭悩ませなければならないのだ。まず第一に秘密主義の六課の課員をこんな身元がばれそうな現場に派遣するなよ。制服なんて着てたらまんまじゃねーか。
なんでだ、人が居ないから。
「中井、とりあえず静かにしてくれ」
私は覚悟を決めて、高校時代の友人である中井麻衣を宥める。
「やっぱり伏見さんだ」
「そうだよ。色々あってな」
「美樹さん、足音が去りました」
了解と、言って私は中井に向き直る。
「なんで伏見さんがここにいるの? 鷺ノ宮さんは?」
「色々あった。あと、こよりは関係ない」
あとお前も関係ない鷺ノ宮こよりの名前を出すなよ。璃瑠が反応したが何も言わなかった。空気がたまに読めるやつである。
「それより中井、何があった」