【3ー17】
【3ー17】
「こっちからの交換条件、そう引き換えの」
こよりの言葉に弘佳は反論する。
「こちらが掴んでいる活動家の所在と、最近の政府の動向、それと資金提供。全てお渡ししたはずですわ」
先に渡すのも条件のうちだった。
フリーに近い活動家のこよりにとって情報は重要であり、それを手に入れるのに苦心しているのも弘佳は知っている。
「いや、もう一個だけ頼まれてくれないかな、一個だけ」
「なんですの?」
「公安六課って知ってる? 公安六課」
最近、活発な警察組織。
「公安の対魔法使い組織ですわね。こちらの一派も何度か接触していますわ」
なかなか、厄介だと聞く。
魔法使いをかき集めているとの話もあるので、頭数が揃ってくると脅威になるかもしれない。
「そうそう。それでさ、公安六課の人間に妙なのがいるみたいなんだけど、調べてくれないかな、調査ね?」
どうするか弘佳は迷った。
データの受け取り以外の命令は受けていない。
だが、ここで鷺ノ宮こよりに恩を売っとくのも悪くないと思える。
「継続的な入間沙織のデータ引き渡しを約束出来るのなら引き受けますわ」
「いいよ、約束する、うん約束」
それくらい構わないしー、とこよりが言っていると店員が料理を運んできた。
美智がPCとHDDの同期を解除し弘佳に渡す。
「……本物です」
それを素早くポーチにしまい、弘佳はこよりに聞く。
「それで、何を調べればよろしいんですの?」
「落合璃瑠」
【3章・運命は輪となった完】