【3ー1】
【3ー1】
「武装グループのアジトの襲撃ですか?」
璃瑠は課長の命令に気乗りしないといった感じで答えた。私の方を璃瑠はチラリと見る。意味を図り損ねる。
薄い髪を撫で付けながら課長は言う。
「君たちが逮捕したね、下井拓哉によって株式会社下井貿易が資金援助をしていた武装テログループの所在が割れたんだけど下井拓哉の逮捕と下井貿易の強制捜査はまだ公表されていないんだよね。このうちに武装グループを叩きたいってわけ」
下井拓哉の供述と下井貿易への強制捜査の成果である。
箱根旅行を潰された対価としては十分だ。
課長の提案に不服そうに璃瑠が噛み付く。
「ですが、それは実行班の方に回すべき仕事ではないのですか」
「実行班が今人手不足でね。魔法使いが2~3名必要なんだ」
「それで私達ですか」
魔法使いが必要とされるということは、相手側に魔法使いが居るのだろうか。当たり前か、でなければ六課に回ってくることもない。
「璃瑠君はこういう方が得意だろう」
課長の言葉に璃瑠は不満の意思を隠さずに返す。
「私は問題ありませんが、美樹さんを連れて行くことに反対です」
「信用ねぇなぁ私」
「当たり前です」
一蹴された。前回下井を逮捕したの私じゃん。もっと認めてくれたっていーじゃん。なりたい自分になればいーじゃん。
課長が璃瑠の反対に珍しくめげずに続ける。課長の髪が薄くなったのはストレスが原因だろうか。
「僕は美樹君の能力を評価してるんだけどね。ゆくゆくは班内選抜で実行班への移籍を考えている美樹君にとっては良い経験になると思うしね」
課長が私に賛同を求めるように視線を寄こす。
確かに私としては対テロ班の方に配属を移りたい。
鷺ノ宮こよりに近づくことが出来る。
「そんな軽い気持ちで来られても困るんです」
「それに最近、研究班から黒蛇のデータが欲しいと急かされてね」
「実地で試すならもっと適任が居る筈です」
「黒蛇のテストプレイヤーに選んだのは僕じゃないからねぇ」
課長と璃瑠の口論が白熱してきたので、私は割って入leことにする。当事者が省かれている気がしてならない。
「課長ー、私が行きます」
「美樹さん!」
璃瑠が振り返って言い放つ。続けようとした璃瑠の言葉を遮る。璃瑠の頭に手を乗せて諭すように言う。
「私に断る理由も無いし、陸自訓練生時代に十分経験も積んでる。それに璃瑠も一緒なんだから大丈夫だよ」