【2ー28】
【2ー28】
「ちぃっ!」
舌打ちより早く下井の姿が消えた。姿が背景に溶ける。
そして腹に衝撃と熱い痛みを感じる。
蹴られた。
「っーー光学迷彩か!」
まさかこれ程の展開スピードだと予測していなかった。背後に気配がして、私は飛び退く。耳元で強烈な銃声が轟いた。
鋭い金属音がして流れ弾が跳弾する。
振り向きざまに引き金を引く。鈍い衝撃が手の平に伝わり、叩きつける様な銃声が二発轟く。
当てのない銃撃が壁を削る。
荒い足音が部屋の外に向かう音が聞こえた。
「逃がすか!」
右手を突き出す。ドアからここまでは一直線だ。見えなくても外す筈がない。
大気中の魔力を引き付けるように力を込める。
指先に静電気が走るような熱いものを感じる。身体の中のものと大気中のものとが混ざり合いそれが呼応する。
脳内で式を組み立てる。元素の結び付きを入れ替える。
狙うのは正面一直線。
見えなくとも避けるスペースがないのだから、相手の位置は予測できる。
「3.02A-02Sスタンショット」
振りかぶった。手で宙を横に斬る。
鋭い快活音が空間を歪ませ光弾が打ち出される。
それは何もない空間に当たると弾けその空間を吹き飛ばした。落下音がして空間の色が消えて倒れた下井が露呈して行く。
気絶した下井の手首に手錠をかけていると璃瑠が慌てて走ってきた。
「美樹さん!?」
「遅いよ璃瑠」
「下井は……?」
「スタンショットだよ、気絶してるだけだ」
私が答えると、璃瑠は溜めていた息を吐き出した。
「なんだよ、璃瑠?」
「心配してたんです」