【2ー27】
【2ー27】
「あんた、なんで私達が第一発見者だって知っているんだ。これはあの場にいた人間以外知り得ない」
「それは、警察に教えてもらったんだよ」
下井の眼が泳いでいる。
私の携帯が鳴っていた。
出ると璃瑠の声がした。頼んでいた仕事は終わったそうで、期待していたものも確認出来たようだ。
私は忍ばせていたハンドガンを引き抜く。そして迷わず銃口を下井に向ける。
照準の向こうに下井の引きつった表情を睨みながら私がは言う。
「私は公安部公安第六課超自然現象及び事件特別対策係所属の魔法使い、伏見美樹。六課課員が武装し介入する事実は決して一般には公表されない。つまり警察があんたに話した可能性はありえない」
私達が部屋に入ったことを知り得るのはあの場に居たホテルスタッフと警察以外あり得ない。居るとしたら、あの場に隠れて居た筈の犯人だけである。
だから、下井が私達を第一発見者だと言い切れるはずがない。私達はただの旅行客だとしか、下井は知りえない。
「それと少々手荒だけど、あんたの部屋に今さっき強制捜査をさせてもらった。金庫から血のついた衣服が見つかった」
璃瑠が金庫を壊してしまったらしいが。
まあ、よくやったと言うべきか。弁償は経費で落ちるだろう。
「下井拓哉、殺人容疑で逮捕する」