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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【2章・隠者は待ち続けた(後編)】
58/282

【2ー26】

【2ー26】


「魔法だよ。あんた、魔法使いだろ?」


私の質問に下井は鼻を鳴らした。


「2.02B‐02Mオプティカル・カムフラージュ

。魔法使用者の周辺の大気に干渉し可視光線を屈折させることにより、まあ簡単に言うと見えなくなるわけだ。光学迷彩ってやつだよ」


ステルスとは根本的に違う。ステルス戦闘機はレーダーには映らないが目には見える。光学迷彩はレーダーには映るが目には見えない。

簡単にいうと透明人間になって部屋に隠れて誰かがドアを開けるのを待っていたわけだ。


「つまり、最初に部屋に入った時にあんたが部屋にまだ居たのに気付かなかった。光学迷彩だから。そしてあんたはこっそり部屋を出た」


メガネの少年探偵に怒られそうな推理である。


「随分な言い草じゃねーか。俺を犯人呼ばわりかよ。証拠でもあんのかよ」

「お決まりのセリフだよね。正直さ、今の段階での推理はかなり強引なんだけど。あんた、事件が起こった時刻に何処に居た?」

「だから温泉にずっと入ってたって言ったじゃねーか」


下井の言葉を私は否定する。


「私があんたに会った時、あんたからシャンプーの匂いはしたけど硫黄の匂いはしなかったんだよね」

「は?  匂い?」

「私、匂いフェチで鼻が良いんだけどさ。あんたに会った時、確かに風呂上がりだったけど硫黄の匂いじゃなかった」


犯人は返り血を洗うためにシャワーを浴びたはずだ。誰にも見られない様に部屋のシャワーを。

部屋のシャワーは水道水だ、硫黄の匂いがする筈がない。



「まさか硫黄の匂いがしなかっただけで犯人かよ」

「もう一つ。あんたは失言を二度している。

最初は私とあんたが事件発生後に会った時に。あんたはこう言った。」

『自殺だろ?  鍵は閉まってたし、お前らが最初に部屋に入ったとき誰も居なかっただろ?』


その時に気づけなかった私もお目出度いな。


「そして、今さっき。この部屋で」

『おいおい、待てよ。トリックも何もそれじゃあ、犯人とてめぇらが鉢合わせるじゃねーか』


この二つの発言だけで充分だった。


「あんた、なんで私達が第一発見者だって知っているんだ」

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