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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【2章・隠者は待ち続けた(後編)】
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【2ー18】

【2ー18】


頭を切り替える為にも、と言う璃瑠の提案に従って夕食にすることにした。部屋で二人で蟹をかじる。

箱根で蟹って獲れるのだろうか。


あまり、こういう話はしたくないのですが。と前置きしながら璃瑠は話し始めた。


「魔法だと思います。今回の事件」

「私も思ったけど何の魔法か分からん」


鍋の火が強すぎないか、これ。

あれか、私の美貌を前にして燃え上がっているのか。


「鍵を締める魔法なんてないぜ、ハリーボッチーじゃあるまいし」

「ハリーボッチーだと部屋に引きこもる為に鍵を締める魔法使ってましたね、そう言えば」


あのシリーズはまだ続いているのだろうか。友達の居ないひとりぼっちが魔法学校で頑張る話であるが映画化までされたらしい。


「確かに物質操作の魔法なんかなら鍵を外側から締めるなんて出来るかもしれないけどカードキータイプなんて無理だ」

「部屋の窓は内側から鍵がかかっていました。部屋はオートロックではなく鍵は部屋の中のライトスタンドの所に置いてありました」


血痕はエレベーターでも発見されたから部屋のドアから出ていった筈である。

しかし、私達が部屋に入ったときにはトイレとバスルームも見たけれど誰も居なかった。

廊下にはマスターキーを持ってきたホテルスタッフが居て私達の突入後には誰も出てきていないと言う。


「そう言えばあのホテルスタッフに口止めはした?」

「しました。私達が部屋に突入したのは警察関係者とあのスタッフしか知りません」

「また課長が大目玉くらいそうだな」

「緊急時でしたから仕方ないと思いますよ」


魔法という極秘機密に関わる六課は、あまり目立つわけにもいかない。

いや本当を言うともっと内密に動きたいらしいが、幅広く扱い過ぎて難しいらしい。


そんなことを考えていると璃瑠が蟹を食べ疲れたのか、別の料理に箸を伸ばし始めた。


「美樹さん、見てくださいよ。このタマゴ、黒いですよ」

「ホントだ」


器に殻ごと入っているタマゴは真っ黒だった。割ってみると中から温泉タマゴが出てくる。殻の色に反して中は真っ白だった。


「殻に何かの成分が結びついているんですかね」

「硫黄の匂いがするな」


かすかに温泉の匂いがする。

あとでもう一度温泉に入ろうかな、寝る時は身体から温泉の匂いをさせながら布団に潜りたい。


また何かが引っかかった。


「温泉タマゴっていうのは、黄身と白身が固まる温度の違いから出来るものなんです」

「へぇー」

「黄身は70℃、白身は80℃位で固まるんですが、普通のゆで卵と違って温泉は温度が低いですから70℃手前でタマゴが温められることで黄身から固まるんですよ」


よう分からんが、なんか凄い。


璃瑠が携帯で温泉タマゴの写真を撮っていた。


「旅行の思い出です」


記念写真でも撮ろうか。しかし、状況が状況だし。


写真?

何か忘れていないか、私。


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