【2ー14】
【2ー14】
「璃瑠、ただいま」
部屋に戻ると璃瑠が寝転んでいた。浴衣から足を覗かせ、バタバタと暇そうに動かしている。
「おまんじゅう買ってきた。食べる?」
「こういうのは、お土産だと思うんですけど」
でも食べると。
リンゴジュースを手渡しながら私は璃瑠の横に座る。
「夕食の時間が30分、遅れるそうです」
「仕方ないな、ホテルの中にはもう久米川さんの話広がっちゃってるっしょ? むしろ、みんな食欲ないんじゃない?」
「私はありますけど」
そりゃお前だからだ。私はまだキツイ。
本当を言うと今も気持ちが悪い。
死体なんて慣れるもんじゃない。ほとんど死体見たことないし。
璃瑠はもう慣れっこになってしまっているのだろうか。
「璃瑠はさ、いつからこういう事をやってるの?
前は作戦部だったんでしょ? いつから?」
「忘れました。もう5〜6年前ですし」
「だって今、璃瑠15歳でしょ? おかしいじゃん」
「複雑なんですよ」
「話してはくれないんだ」
「私が話したら美樹さんが、鷺ノ宮こよりに固執する理由を聞かせてもらえますか」
「璃瑠には関係ないよ」
「隠し事ばっかりですね、お互い」
璃瑠はお饅頭を二個食べ、ジュースで一息つくと身を起こし座り直す。
「話しを変えましょうか。久米川さんの事件です。鑑識の報告が上がってきてからですが。先程の刑事、小金井刑事によると警察は自殺と見て捜査するようです。おそらく、下井さんと会社側の過失が問われる事になるでしょう」
「私は久米川さんがよりにもよって拳銃自殺をするとは思えないよ」
私が言い切ると、璃瑠は怪訝な顔をした。
「手を出すんですか? 私達には関係ない話ですし、まず第一に休暇中です」
「知らないよ、そんなの」