【2ー12】
【2ー12】
警察が到着して館内は少々騒がしいものとなった。
璃瑠が現場指揮をとっている刑事に話をつけに行っている。
それをぼんやり眺めていると、後ろから肩を叩かれた。
「おい、なんの騒ぎだよこりゃ」
下井が立っていた。風呂上がりだから髪が濡れたままで下を向いている。
そう言えば温泉の脱衣所の前で会ったな。
シャンプーの匂いがした。
「久米川さんが死んだ」
「は? おい、それはマジかよ」
「あんたはどこに居たんだよ」
「ずっと温泉に入ってたんだよ。それより久米川のおっさんがなんで死んだんだよ!?」
知らないよ、と吐き捨てると下井が何かを言おうとしてから押し黙る。
璃瑠が戻って来た。
「美樹さん、ちょっと」
璃瑠に連れられてとある部屋に連れていかれた。宿泊部屋であり中に入ると、スーツ姿の男性が座っていた。
面長で口髭を蓄えている。
眼光が鋭い。年は50過ぎた位だろうか。
「警視庁の方に確認をとった。お前たちみたいなのが、公安だとは驚いたよ」
「公安六課所属、伏見美樹です」
「そっちの落合から聞いたがお前たちが第一発見者だと」
この刑事、良い声しているなぁなんて思った。低音で聞きやすい。
「はい。銃声が聞こえたので緊急性のある事態と判断し私と、伏見美樹の二名で室内に突入し遺体を発見しました」
「その時、室内にはだれも居なかったのか?」
「はい」
「では、その時部屋の鍵はどうした」
「ホテルスタッフにマスターキーを借用しました」
どうも尋問されている気分である。
「部屋の鍵は閉まっていたんだな?」
「はい」
「間違いはないな?」
「ありません」
そう聞くと刑事は考え込む仕草をとった。
「そうか、ちなみに公安はこの件に介入するのか? お前たちの格好を見るに仕事で来ているわけではないんだろう?」
「上から指示があるなら動きますが、おそらくはないかと」
「そうか、下がっていい。後で事情聴取に誰かを寄越すから協力してくれ」
「一つ頼んでも良いでしょうか」
「なんだ」
「公安六課関係の話、私達が突入したことは内密にお願いします」
「分かった。公安の中でも六課は秘密主義で胡散臭いからな」
私は肩を竦めてみせる。
「私達を見たら、まぁそう思うでしょうよ」