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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【2章・隠者は待ち続けた(前編)】
39/282

【2ー7】

【2ー7】


「子供に聞かせるような話じゃないんだけどね。僕は会計士なんだけど、長年勤め先の企業の脱税に手を貸してきた」


思ったよりハードな話が出てきた。


「だけど、それが嫌になってね。それで内部告発って分かるかな」

「分かります」

「内部告発を考えた。でも社長に脅されてね、何かすればどうなるか分からないぞってね」


脱税の内部告発か。あまりその手の話は詳しくは無い。魔法がからむような犯罪者では無いし。


「迷ったんだけど、やっぱり不正にこれ以上耐えられなくてね。でもやっぱり勇気も出なくて。だからこの遠くの地まで一回離れて考えてみたくて」

「でも下井が来てしまったと」


下井は社長の息子か何かだろうか。


「下井は何て言ってるんですか」

「このまま大人しく東京に戻って帳簿データと証拠写真を返せば大事にはしないって言ってるんだよ」

「もし久米川さんが本当に内部告発を考えているなら弁護士か警察にまず相談すべきです。相手は脅迫まがいのことをして来てる訳ですから」


久米川が紙封筒を大事そうに抱えている事に気が付いた。帳簿が入っているのだろうか。


「やっぱりそうだよね。僕はいつも考えが甘いんだ。箱根に逃げて来たのだってただ逃げたい一心だったのかもしれない。あんな恐ろしい組織と手を結んでいる会社が怖くなってね」


コーヒーのお代わりを口にしながら久米川は続けた。ついコーヒーに対して身構えてしまう。次、汚されると服の変えがない。


「僕はここの出身でね。本当は両親の土産物屋を継ぐ筈だった。でも気弱で人見知りが酷い僕より妹の方が向いてたから、妹にまかせて僕は会計士になった」


この人には無理だろうなぁ。と純粋に思った。


「数字と向き合う時に僕自身は関係無いからね。数字は絶対だ、誰の前でも平等に同じ姿でいる。

そんな強い人間になってみたいよ」

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