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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【2章・隠者は待ち続けた(前編)】
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【2ー6】



【2ー6】


フロントでクリーニングサービスを依頼するとロビーに響き渡る怒声が聞こえた。


「どーなんだよ!?  え?   

久米川!?」


どこかで聞いた名前が怒鳴られていた。

めんどくさい事になりそうだなぁ、なんて思いながら振り返ると久米川が若い男に食いかかられていた。


「今すぐ戻れば社長も大事にはしないって言ってるんだよ!」

「いや、しかしそう言われても」

「それとも、覚悟決めるのか!?」

「お二人さんストーップ」


私は久米川と彼の胸ぐらをつかんでいる若い男の間に割って入った。

久米川は怯えと驚きの混じった表情をしていた。


「なんだ、てめぇ」

「お二人さん落ち着いて。周りみんな見てるからさ」


若い男に向かい合う。20代後半といったところか。剃り込みと赤のメッシュを入れた短髪であり、口もとにはピアスがしてある。


「ここは公共の場。で、ここに来てるのは旅行客。あんまり気分壊されたくないんだけどさ」

「うるせぇよ、関係ないんだから引っ込んでろ」

「そういう問題じゃないっしょ。私は煩いって言ってるんだよ」

「うるせぇのはてめぇだろ」

「自分の声量も分かってないのかよ、その耳はなんだ、飾りかよ。最近のトレンドかよ。どうせなら猫耳つけるくらいの面白いことしろよ」

「猫耳なんて今日日流行らねーんだよ。今はキツネ耳なんだよ」

「ニワカ乙。どうせ狼と通信料が終わったら廃れるんだよ」

「んだと!?」


私と彼の口論はフロントスタッフの介入によって中断された。


「あのお客様、他のお客様のご迷惑となりますので」


互いに舌打ちして私と彼は一度押し黙る。

久米川の為の口論だったがこう言われては黙るより他ない。


「なんか冷めちまった。風呂入ってくるか。おい久米川、俺もこのホテルに泊まるから勝手に出歩くんじゃねーぞ」


若い男が去って行くのを見送って久米川は息を吐いた。


「何すか、今の」

「彼は下井といって、僕と同じ会社の同僚だよ」

「久米川さんの待ってた相手ってのは」

「彼だよ。何処からか僕の居場所を突き止めてね。追いかけて来た訳だよ」


追いかけてきた?

どういう意味だろうか。


「あのー、良かったら事情を話してみません?」


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