【2ー4】
【2ー4】
おっさんに振り向きざまに盛大にコーヒーをかけられた私はその芳醇な香りは香水には向かないな、と知り得た。
「本当に申し訳ない、すまない。この通りだ」
「いやホント大丈夫っすから」
「美樹さんの服なんてもともと薄汚れてますし」
「お前にもコーヒーかけたろか」
「本当に申し訳ない、すまない。この通りだ」
「いやホントに大丈夫っすから」
コーヒーがかかった服のまま私と璃瑠と隣に居たおっさんはホテルの部屋に移動しているところだった。
気の弱いおっさんらしく、もう良いからと言っているのに謝り続けている。
見兼ねた璃瑠が部屋まで荷物運ぶのを手伝って貰えればチャラにしましょう、と言った次第でおっさんに荷物持たせたまま私達は連れ立って歩いているのだった。
「306号室、ここですね」
璃瑠がカードキーでドアを開けると、璃瑠は言った。
「えーと、お名前は?」
「えぇ、はい、久米川と言います」
「じゃあ久米川さん、荷物ここまでで良いです、ありがとうございました」
璃瑠が久米川から荷物を受け取ると久米川は財布を取り出した。
「これをクリーニング代に」
「いやホント大丈夫っすから」
「美樹さん元々泥水で洗ってますもんね」
「コーヒーは泥水じゃねー」
あと泥水で洗ってもねぇ。
「誰か待ってたんすよね?
こっちはもう気にしなくていいんで」
私がそういうと久米川は驚いた顔をした。
「どうしてそれを?」
「いや見てたらそんな感じだったんで」
「実はそうなんだ」
「だからもうこっちは気にしないでいいっすよ」
「申し訳ない」