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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【2章・隠者は待ち続けた(前編)】
33/282

【2-1】


【2-1】


公安部公安六課超自然現象及び事件特別対策係。

別にUFOによる誘拐だとか、幽霊が出るからお祓いしてほしい、とかそういうことに関わる課ではない。

表向きは超自然現象となっているが、実際扱うのは科学分野だ。


元素Ma。数年前に始めて観測された元素。それをMa元素高度反応技術法、通称魔法で利用してやることで特殊な反応を期待することが出来る。

観測、確立されていなかっただけでその存在自体はあった。

今まで、超能力だとか霊能力だとかされてきたものは大体が魔法で説明がつく。

魔法といっても、おとぎ話のようなものではない。れっきとした科学である。


それらの魔法は一部の関係者を除いて秘匿とされているが、国家規模でその研究がされている。

魔法は従来の軍事のあり方を変えた。魔法が使える歩兵は、単身で重量戦車以上の火力を簡単に運用しエネルギー兵器は従来では実用不可能とされていたが魔法を原動力としていとも簡単に可能として見せた。


それは一つの弊害をもたらした。犯罪への転用である。軽犯罪から国家存亡に関わるテロまで魔法が用いられることでその対処は困難を極めた。

その対処のために新設されたのが公安部公安六課超自然現象及び事件特別対策係である。


『射撃訓練フェイズ5終了です。採点結果を表示します』


的が沈黙して電子音が訓練の終了を告げた。

気分が沈んでいる時は、私は射撃訓練場にこもる。ひたすら無心で引き金を引く。


なんの解決にもならないが、少なくとも気は紛れる。あと射撃の腕前も上がる。それと、たまに受付のおっちゃんがお菓子をくれる。


「美樹さーん」


射撃の採点をしていると、璃瑠の声がした。


「璃瑠か、おはよう」

「おはようございます」

「にしてもめずらしいね、射撃場にくるなんて」

「美樹さんを呼びにきたんですよ」


璃瑠は射撃が苦手だ、そして嫌いだ。自分で蹴った方が早いとまで言う。

なので射撃訓練場に来る事はほとんどない。


「結果どうでした? 射撃の」

「フェイズ5で97点」

「すごいじゃないですか」

「そりゃ、璃瑠に比べたらね」

「最高レベルで満点近く出したら誰でも褒めますよ。公安の施設だと物足りないんじゃないですか」

「暇でも見つけて軍の訓練施設でも借りるよ」


私が璃瑠と比較して勝っているのは射撃くらいだろうか。あと、美貌か。


「で、なんの用?」

「今朝こそは美樹さんが死んでいると思ったので」

「今朝も元気だよ」

「たまには私の希望に答えてくれたって良いじゃないですか」

「生きる希望をなくしたら考えるよ」




六課のオフィスに戻って来ると課長に呼ばれた。璃瑠も一緒に、とのことだったので連れて行く。

課長は私たちに急な休暇を言い渡した。


「休暇ですか?」

「うん、二人にね」


私は驚いた。

前回の入間沙織の事件のせいかと邪推してしまう。これは褒美ではなく厄介払いだろうか、と。


「急だけど明日から三日間フルで休みをとっていいから」

「それは有難い話なんすけど、なんでまた急に」

「入間沙織を拉致されたとはいえ鷺ノ宮こよりの尻尾を掴めそうらしくてね、そのご褒美だって」


手を回したのは狭山だろうか。


「課長、それなんすけど私もなんとかその件を追わせて欲しいーー」


言い切る前に私の言葉を璃瑠が遮った。


「狭山さんに言われましたよね。諦めましょう美樹さん」

「それはそうだけど」


食い下がる私の肩を課長が叩く。


「とにかく休暇だよ。一度しっかり休んでそれからだね」

「……はい」


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