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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【一章・少女は欺いた(後編)】
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【1-29】


【1-29】


「先に用事を済まさせてくれよ」


 薬師寺早苗の細い手首に冷たい無機質な手錠をかける。

 罪状はなんだろう、わかんねぇ。てか、逮捕で良かったのかも分からない。璃瑠を呼んでからにしとけば良かった。

 携帯電話で璃瑠を呼び出す。


「璃瑠」

『はい』

「入間沙織を保護した。こっちまで上がってきてくれ」

『了解です。あと勝手に薬師寺早苗に手錠とかかけないでくださいよ』

「おお……」


 薬師寺早苗の手錠を外していると、可愛そうなものを見るような瞳に射られた。

 いや、でも魔法使いの犯人相手に自由にさせとくってのもおかしな話ではないだろうか。

 手錠を使わずに動きを封じる方法、抱きしめたりしてればいいのだろうか。


「美樹さん!」

「来たか。そこに入間沙織がいる。公安所轄の病院まで搬送してくれ。それと六課の回収班に連絡を」


 璃瑠と、璃瑠が連れてきた救急隊員に声をかける。

 璃瑠が薬師寺早苗の斜め前に陣取る。薬師寺早苗が一歩でも動けば実力行使に出ると言わんばかりに璃瑠は殺気立たせていた。

 ストレッチャーに乗せられ運ばれていく入間沙織から薬師寺早苗は目を逸らした。

 一時の慌しさが、去ると薬師寺早苗は口を開いた。


「刑事さんは準備がいいね」

「本当なら私が魔法を解除したかったんだけどね。お前が犯人だっていう証拠がなくなっちゃうからさ」


 璃瑠にチラッと視線をやる。何も言わないので、私は質問を投げかける。


「なんでこんなことになったんだ」

「……。」

「入間沙織のイジメは酷かったのか?」

「なんでそれを?」

「勘」


 人には、その人自身の歴史がある。それは言葉に表れる。

 その一瞬が見える時があるのだ。


「サオリンはみんなに優しかったんだけどねー。

 私に対してはそうじゃなかったんだ」


 明るい口調は崩さない。まるで他人事のように。


「こいつはずるいよ。真実なんて多数決だから」


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