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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【1章・少女は欺いた(前編)】
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【1-2】

【1-2】

 さっそくですが、本題の方に。と璃瑠が急かした。


「所轄に何度も同じ話をしていると思うんですけどお願いします」

「はい。おそらく大体の情報はお聞きになられているかと」


 関さんが二枚閉じの紙を机に滑らす。

 個人情報のデータベースを印刷したもののようで家族構成から成績、性格に至るまで記述されている。

 入間沙織いるま さおり、16歳。顔写真は大抵写りが悪いものだが、この子は写真からして美人だった。

 眉の辺りできれいに切り揃えられた前髪に、大きな目。

 成績優秀、生活面では品行方正で部活は弓道で全国大会出場経験あり。

 敵わんなこりゃ。そんな感想をこぼしそうになる。


「逆に美樹さんが勝てるような相手っているんですか、人間で」

「失礼だな、居るよー、一人くらいはいるよー」

「人間で!?」

「居るよ!」


 関さんが遠慮がちに喋った。


「話を続けてもよろしいでしょうか」

「すいません、つづけてください」

「六日前に、寮長の方からわが学園の生徒が一名、入間沙織が見当たらないとの報告を受けました。

 校内をくまなく探索しましたが見付からず、家の方にも連絡はありません」


 入間沙織の写真の顔を焼き付けながら、私は話を続ける。


「失踪届けが出されたのが、その二日後ですが」

「来ていただいたときに見えたかもしれませんが、

 わが学園の周囲は3.5メートルの塀に四方を囲まれ出入り口は計四箇所以外にはありません。

 一箇所は常時施錠されており、他の三箇所には守衛を置いており出入りにはここでのチェックが要求されます」


 関さんが寮生向けの規約を私に渡した。

 これによるならば、寮からの外出は厳しい制限はないようであるが、

 外出の際には外出簿に行先、用件および帰寮予定時を記入しなければならない。

 出入り口には守衛がおり内外からの通過は防犯カメラでチェックされている。

 また守衛にIDカードをチェックされその記録をつけてからでなければ外に出ることは出来ない。

 外部の者が入るには簡易手荷物検査もされる。少々大げさではないかと思うが、これも時代なのだろうか。

 ちなみに私たちは入り口で散々止められた。

 そりゃ、女子高生が警察名乗ってきたら不審がるのも分かるが、もうちっとグローバルな視点をもてないものか。

 あとうちの課からちゃんと連絡しておかないものか。しね、課長。


「外出記録には入間沙織の名前はなく、防犯カメラにそれらしき姿もありませんでした。

 また失踪した日の午後六時頃には学園内での目撃情報がありました。」


 出入りがかなり制限される。

 仮に入間沙織が家出?したとして寮から勝手に出るには監視カメラに映らず、守衛の目を掻い潜らなくてはいけない。

 もしくは私の身の丈三つはある塀を乗り越える。現実的ではないな。

 かといって学園内部にいたとしたらとっくに見つかっているはずである。


「だから失踪届けが遅れた、と」


 所轄の方から捜査資料のコピーは貰ってきてある。

 妙な感じがしたのか、それなりにしっかりとした調査がしてある。


「入間沙織には失踪する理由はありましたか?」


 璃瑠が入間沙織の生活面の評価とにらめっこしながら聞く。お前も少しは優等生を見習え。

 璃瑠の質問に関さんは即座に返した。


「ない、と言い切れます」

「絶対に?」

「はい。真面目な子でしたから」


 書類上の評価をそのまま受け取るならそのようである。

 関さんは少し声を落とした。


「入間沙織は学園内から消えたんです。誰の目にも触れずに」

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