【1-27】
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「この部屋室内灯が点いてないんだよ。遮光カーテンも閉まってて電気も消えてるのになんではっきりみえてるんだろうな。
はっきりとこの明るい部屋が」
「それはー……」
「私がこの部屋の違和感に気付いた理由は一つだ。
最初にこの部屋に入った時、関さんはお前を入り口で食い止めてて、部屋の中には入ってなかった。
最初に入ったのは私と璃瑠だけだ。私は部屋の室内灯のスイッチの場所なんて分からないから、スイッチを点けるのは関さんに任せていた。
璃瑠も部屋に入ってずっと私の横にいたし、誰もスイッチなんて押していない。
なのに、部屋は明るかった。
上映用の遮光カーテンが閉まっているのに」
校内は節電の為に使用されていない部屋は常時明かりが消されており、施錠すると自動的に室内灯は消えると関さんは言っていた。
最初に入った時に、室内灯のスイッチを押さなければ部屋の明かりが点くわけがない。
誰も気付かなかった、気にも留めなかった。
「この部屋を一目見ただけで誰もいない部屋だと認識させるのに、部屋が暗ければそれは出来ない。
だから、この部屋に貼り付けられた偽の映像は、部屋の室内灯をつけた状態の部屋だった」
暗い部屋を魔法で見せても意味がない。部屋を見渡すだけで誰も居ないことを認識させなければならないのだから。
だからこの部屋に貼り付けられている映像ははっきりと見ることが出来るように明るい部屋のものだった。
元の部屋がどんなに暗くてもその上に偽の映像を貼り付けてしまえば、私たちはその偽の映像をしっかりと認識する。
そこに矛盾が生じた。
例え見えないスクリーンだとしても、流れる映像でその存在は認識される。
「室内灯もついておらず遮光カーテンが閉まっている。なのに私たちには確かに明かりのついた視聴覚講義室が見えてるんだ。
これが魔法の存在の証明だ。気付けないレベルで偽の情報を見せられているんだよ」
薬師寺早苗が唇を噛んだ。表情がより一層険しくなる。
「刑事さんの言ってることは面白いよ。だとしても私が使ったって証拠にはならないんじゃないの?」
噛み付くような勢いで言い放った言葉。
魔法による犯罪はそこが厄介だ。
証明するのは難しいが、証拠も見付かりづらい。
しかしそれを見つけるのが私の仕事である。
「魔法を用いて『誰も居ない視聴覚講義室の映像』をこの空間に貼り付けている。
部屋に入っても違和感を覚えないほどに正確に映像を再現している。
だが魔法は完璧に元データを再現しすぎて犯人にとっては写すべきものでないものも写してしまっているんだよ」
光が物に反射しその反射したそれが私たちの眼に入り視覚情報として認識される。
この部屋には一つだけ厄介な反射する物が残っていた。
「そこの棚のガラス戸に映ちゃってるぜ。カメラを構えるお前の姿が」