【16ー6】
【16ー6】
美樹の魔力盾が悲鳴を上げる。咄嗟に美樹は飛び退いて新しく魔力盾を張り直す。
魔力盾で熱線をいなすと美樹は空を蹴って加速する。野方がライフルを連射し空気が鳴く。美樹は直線飛翔をしたままスライドシフトを発動し自らの位置をずらす。回避動作をとらずに速度を落とさないまま野方の放った後方から迫ってくる射撃を回避する。美樹と野方はビルの乱立した地帯へ突入した。
「魔法使いの存在が明るみに出れば必ず虐げられる側に回る、少数派を虐げてきた歴史を繰り返す。その礎をひっくり返さなければ、私達は暗闇の中へ墜ちていく定めとなる」
「そんな理屈で行き着く先が魔法使いの支配構造なら、立場をひっくり返しただけじゃないか!」
「なら甘んじて受け入れろと言うのかね、君は! そして可能性を潰すのか、君は!」
野方がライフルを構え引き金を引く。熱線が空気を撫で蜃気楼を起こす。美樹が寸前で躱わしてその熱線がビルのガラスを砕く。
ガラスの破片が美樹の背後へと巻き散る。破片が光を反射し目を眩ませる。
そこに映っていた自分の姿が見えた。
自分という存在がそこにあった。
私は、私という存在は何なのだろうか。
「違う、違うんだ。そんな二元論じゃない、人々が分かり合うという未来を何故選べない! そうするだけの可能性を持っているじゃないか!」
もし明日、世界を敵に回すことになったのなら生きていけるだろうか。誰にも認められない世界で生きていけるだろうか。
私達がどんなに否定したって世界と私達は切り離せない。世界から私達は切り離されたのに。
なら異質とはなんだ、存在を世界から区別されたことで成立する存在を抱えた人々がまた造り上げた世界の中で異質という存在は成立しうるに足るのだろうか。
舞い散るガラスの破片の中で美樹は黒蛇を構え突撃する。野方が叫ぶ。それに呼応して彼の魔力が放出される。
「その可能性を選ばせなかったのも、また人だ!」
「選び直すのだって人じゃないか!」