【16ー2】
【16ー2】
璃瑠は言った。
私達と世界を区別するもの、その境界線は誰かが観測して初めて存在する。
観測者が居なければ私達は自分の存在すら証明できない。私達は認識されて初めて自己の存在を確立できる。
私達の存在はそれほどにあやふやなのだと。
だから、誰かに認めてもらいたいという欲求は否定できるものではない。世界でひとりぼっちなら、私達は生きている意味などないのだと。
「墜ちろ」
「ちぃっ!」
野方が放った熱線が身を焦がす。貫かれた場所が熱さと痛みを訴えだす。
美樹は撃ち抜かれた左足で力任せに地面を蹴る。空中へ舞い上がると黒蛇を構えた。引き金に手を伸ばす前に野方の放ったライフルの一撃が美樹の胴体を貫く。
痛みは一瞬だった。遅れて、もはや何の感覚かも分からないものが全身を襲う。
「っぁぁぁ!?」
遠ざかる意識の中で引き金に指を伸ばす。絶叫を込めて思いっきり引き金を引く。
質量があるかの如く音がずっしりと轟く。美樹が黒蛇から放った砲撃が大気を押し退けながら射線を描き出す。
世界すら揺るがすかのような砲撃が光の粒子を撒き散らしながら光芒となって全てを呑み込み直進する。音の振動すらもはや攻撃と言っても過言でなかった。
解放された濁流のように周囲を呑み込みながら砲撃が野方の前へ立ちふさがる。
回避は不可能に見えた。しかし、野方の目の前で砲撃はかき消される。
そこを狙って美樹が即座に砲撃を撃ち出す。しかしそれも容易く消えた。
「今のが最大出力だよ、馬鹿やろう」
これは駄目だ。頭が、痺れたその感覚の中で警報を鳴らし始める。その音が頭痛に変わって美樹は顔をしかめる。
通らない。理屈も仕組みも分からない、だがこれだけははっきりと分かった。
「あんたが前に出てきたわけが分かったよ、危険だ、あんたは」