【16ー1】
【16ー1】
梨花は言った。
自分は誰かに認めて愛してもらいたかったのだと。そのためには、自分の価値を示すにはただ戦い続けるしかなかったのだと。
魔法はそれを叶えてくれた。その力を与えてくれた。
魔法があれば梨花は初めて誰かに必要とされるのだと。
誰かに愛してもらいたくて梨花は魔法を振るった。そうしなければ、愛されないと頑なに信じ込んだまま。 認められる筈がないと自分に言い聞かせながら。そうしなくとも、そう泣かなくとも良かったなんて知らず。
梨花はただ認めてもらいたいだけだった。そのために悲しい道を進んだ。
「3.01B-01Fディフェンスシールドデュアルストラクチャ、3.01B-01Gディフ ェンスシールドリアクティブ」
美樹が二種類の魔力盾を重ね合わせて張りながら地上に着地する。そこへ野方の放った熱線の嵐が降り注ぐ。魔力盾が熱線を弾き周囲で爆発を巻き起こす。その熱風に煽られて美樹の髪が靡く。
美樹が手榴弾を引き抜くと大きく山なりに放り上げる。美樹の対面に着地した野方の頭上で爆発するも爆風は野方に触れる手前で消えた。
「魔力以外も無効化するのか!?」
石神佐樹のようなフィールドとはまったく異なるものらしい。少なくともなんらかの見えないバリアがあるのは確かだった。
魔法も無効、手榴弾の質量的な爆発も無効。しかも防いでいるのではなく消滅させているように見える。種が分からないと手も足もでない。
美樹が地を蹴っ飛ばし前へ急加速する。野方がライフルから熱線を放ち美樹はスライドシフトを発動させて自分の位置をずらす。加速した勢いを殺さず位置だけをずらすことで攻撃を回避すると野方との距離を一気に詰めた。
「こいつは」
「なに」
「どうだよ!」
黒蛇の銃口から魔力を放出しそれを刃のように形成する。黒蛇を構え魔力によって形成した刃を野方へ向かって突き出す。
刃は野方に触れる前に消えた。
「どうなってんだよ、こりゃ」