【15-5】
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「撃つってのかよ! あれを!」
グングニルが起動したのが見えた。美樹はビルからビルへ飛び移りながら目測で距離を測る。400メートルもない。狙えない距離ではないが確実性が今は欲しい。
拡張オプションの蛟の威力でもグングニルの射出サーキットを一撃で崩せるかは分からない。組み上げている術者を狙った方が早いか。しかし、それを認識できる距離まで接近すればそれだけリスクも増す。
悩んでいる暇は無さそうだった。思ったよりグングニルの形成速度が速い。どういうものなのかはいまいちはっきりしていないものの、危機的状況なのは肌で感じる。
空から滲み浮かぶようにグングニルは徐々にその巨大な姿を現し始めた。系譜のような紋様を記した、そうまるでプラスチックの板が空に浮かんでいた。それが二枚、平行に並びサーキットを形成している。急角度で空へ向き射出元と思わしき場所で光球が鼓動しているのが見えた。光球の大きさは直径5メートルはあるだろうか。あれ自体が爆発するだけで甚大な被害を及ぼしかねない。
二枚の平行した板の間で光が瞬く。互いの間でパルスが伝いそれがリングへと変わった。それが等間隔に浮かんでは消えその数を増やしていく。サーキットの周囲で魔力の撹拌が起こるのが見えた。
「撃つのか!?」
ビルの屋上へ着地すると背中に背負った蛟をケースからロックを解除して取り出す。武骨な長身のバレルでそれを砲撃形態へ移行した黒蛇へ接続する。
手に収まらないほどのエネルギーパックを装備すると黒蛇を構える。銃身がかなり長くなったために重心が大きくずれ取り回しが悪い。
銃声がした。足下でコンクリートが弾け飛ぶ。アサルトライフルを構えた兵が二個小隊、美樹に向かってくる。
時間はない。
「お前等……そこをどけ!」
黒蛇を構え引き金を引く。蛟が魔力の光芒を吐き出す。砲撃をなぎ払うようにして全てを消し飛ばした。