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あさきゆめみしきみへ  作者: 茶竹抹茶竹
【15章・騎士は迷った】
261/282

【15-3】

【15ー3】


「あなた達が馬鹿にした人達だって意思も想いも考えもある。あなた達が変えたいと思った国だって勝手に出来たわけではないでしょう」

「流された人々によって出来たのだ、今この事態は」

「あなた達の言うような人が全てではないです。それに、あなた達に賛同出来ない人達の意思を無視して成し遂げようとするなら、正義を語るなんておかしいですよ」


璃瑠がこれ以上語る言葉はないと、口を閉ざす。

霧風は落としてしまった。辻風は持って来ていない。

見えない攻撃にどう立ち向かう。この装備が大きく欠けた状況で。


璃瑠の身体に突き刺さった金属の破片が傷の存在を叫び出す。流れ出す血は止まりそうにない。

視界の片隅は黒く歪み、口の中に乾いた血の味が流れ込む。

風が吹くたびに爆発で焦げた皮膚が針に刺された様に痛む。


破片……?


璃瑠はふと気付いた。

この身に突き刺さった金属片は何だ。爆発の時に刺さったものだ。

入曽の5ナンバーは空気の圧縮。それによって爆発を起こしていると言っていた。

ならこの破片は何だ。


何故入曽は最初に自分の魔法について正体を明かしたのだ。隠しておけば大きなアドバンテージになるというのに。


「堕ちろ」


入曽が何も持たない手を璃瑠に向け、指先を動かした。刹那、身体の何処かで激痛が走る。血が吹き出す。

鈍い痛覚で満たされていくなかで璃瑠はとある確信を抱いた。


「性格に似合わずずいぶん変化球じゃないですか」


 見なければ、見えなければ私たちはその存在を認識できない。けれど、そうだとしてもそこにあるものは消えようがないのだ。

 見えなくとも見たくなくともそこに存在しているはずのものを忘れてはならない。


 種は分かった、だが依然として状況は不利であることには変わりない。

 武器のないこの状況でどうする。大きな賭だった。思いついた方法は危険に見えた。けれど、それしか思いつかなかった。


「3.03B-01Rアクセラレイト・チャージャーサーキット」


 璃瑠と入曽の間にサーキットを形成する。加速装置として固定された土台が璃瑠を勢いよく押し出す。

 二つの影は周囲の世界が止まったかの如く高速で接近した。

 入曽が腕を振る。空気が圧縮されたその見えない剣を振るう。

 その切っ先があろう場所に見当をつけ、璃瑠は両手に魔力盾を張りそこへぶつける。衝突した力が撹拌し魔力の波動が散らばる。振り下ろされた一撃を璃瑠は魔力盾を使って両手で受け止めた。


「なにを!」

「でぇぇぇい!」


 両手で受け止めた入曽の剣、その見えなくともあるであろう場所に見当をつけて璃瑠は足を蹴り上げる。それと同時に両手で受け止めた剣を下向きに引っ張る。

 確かな手応えがあった。重い何かを蹴り飛ばした感触が。

 空気の剣を思い切り蹴り上げ、入曽はよろめく。入曽の掌が開かれたのが見えた。

 そして入曽の左腕に回し蹴りを叩き込む。吹き飛びはしたものの大きなダメージは与えられなかった。


「武器がない状況でよくやる」

「そうですね、私はあなたと違って空気から武器を作るなんて出来ませんから」


 蹴りを叩き込んだ瞬間に入曽は衝撃に負けて掌を開いた。そう見えた。


「だから今手放した剣の変わりなんていくらでも作れるんでしょう。本当にあなたの魔法があなたの言うとおりのものであるなら」



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